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ポスト・コロナを考える~大都市集中型社会から地方分散型社会へ

 新型コロナウイルスの感染拡大により世界や日本は歴史的な危機に直面しています。他方でポスト・コロナとして、新型コロナ終息後を見据えた議論も各方面で盛んに行われています。ポスト・コロナの社会は、さまざまな面で大きな変革が起きることが予想されますが、その中の1つとして注目したいのは、「大都市一極集中」から「地方分散」への転換が進むという議論です。

 長年日本では、大都市への産業や人口の過度な集中が進む一方、地方の衰退に歯止めがかからない状況があり、「地方創生」などの政策が取り組まれてきました。しかし、大都市集中の傾向は変わっていないのが現状です。

 今「地方分散」の議論が盛んになりつつある背景には、1つには新型コロナウイルスの感染が大都市ほど深刻だという点があります。世界的にもニューヨークやパリ、ロンドン、東京などの大都市で感染拡大が顕著に見られました。

 2つ目は、リモートワーク、オンラインによる情報交換の急速な普及です。これにより大都市にいなくても仕事や情報交換が全国的・世界的範囲で相当程度可能であるという実感が広がりました。

 最近の新聞などでも「今回は国土の構造、人口分布がいかに脆弱かを明らかにした。(中略)国土のグランドデザインを劇的に変える必要がある。リモートワークが転換点と見る。仕事を都市部から地方に分散しやすくなり、人の移動が起きる」(日本経済新聞2020年5月13日、福井県知事・杉本達治氏)、「急速に進む『オンライン化』と、大都市の感染リスクへの再認識は、やがて新たな歴史的Uターンを生み出すかもしれない」(日本経済新聞2020年5月20日、「大機小機」)などの論調が見られます。過度な大都市集中の解消は、大都市の住みやすさ・働きやすさの向上にもつながり、日本全体を持続可能な社会に変える1つの契機ともなるものです。地方の安定があってこそ持続可能なグローバル化のあり方も見えてきます。

 実際に若者の中でも意識の変化が見られます。就職情報会社のマイナビが行った「2021年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」によれば、働く場所が自由になった際の理想の勤務地・居住地域について、「地方」「都市(東京以外)」「東京」の3つに分けて聞いたところ、勤務地・居住地域の理想はともに「地方」が5割前後で1位という結果が示されました。

 コロナ禍を乗り越え地方分散型社会を現実のものとするには、国としても地方分散型社会をめざすグランドデザインを示すとともに、地方経済・社会の担い手である中小企業を維持・発展させるための政策を抜本的に強化していくことが求められます。中小企業も、地方分散型社会の担い手としての役割を改めて明確にし、それを地域社会や若者に積極的に発信して、ともに持続可能な地域社会づくりに取り組んでいくことが求められます。

 危機は「危険」と「機会」の両面を持ちます。「地方分散型社会」を志向する芽を地域再生や中小企業振興の大きな流れへとつなげ、コロナ危機を乗り越える力にしていきましょう。

(KS)

「中小企業家しんぶん」 2020年 6月 15日号より

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