《新連載》【実践!テレワーク】第1回 事業継続の危機より

 近年新たな働き方として注目を集めているテレワーク。新型コロナウイルスの感染拡大により、導入する企業が急激に増え、アフターコロナの働き方として定着しつつあります。しかし、中には導入後の運用に失敗するなどして、元の働き方に戻ってしまうところも。そこで、今回より新型コロナの前からテレワークを導入してきた(株)現場サポートの実践事例を全5回にわたり連載します。

(株)現場サポート 代表取締役 福留 進一(鹿児島)

電話を止める=事業継続の危機

 弊社は、建設業向けのクラウドサービスを主力事業としている関係により、新型コロナウイルス感染者の社内発生によってヘルプデスクを止めるということは、事業継続の危機であると捉えていました。そこで、感染拡大の有無に関わらず、無駄に終わってもよいので、ヘルプデスクの在宅ワークの試験運用をやることにしました。まだ感染拡大状況が分からない2月18日時点のことです。もちろん、そのほかのジョブの社員も在宅ワークのテストを実施しています。

設備の準備状況

 これまでも台風やインフルエンザの流行などのたびに、複数拠点でヘルプデスクの運用ができないかと考えており、2018年にインターネット回線を使った電話へ変更することを検討し、2019年2月に導入を終え、あわせてVPNの仕組み見直しも同年7月ごろに実施しています。

 リスクに備えての準備をしておくことの重要性を再認識した次第です。

そのほか、危機感からの準備事項

 全社員在宅ワークの準備は、同じタイミングでほかにも行っています。まずはオンライン会議の設備充実です。

 すでにZOOMの有料アカウントは導入済みで、拠点間のオンラインミーティングは日常的に行われていました。全員が在宅になることを想定し、ZOOMのアカウントを全員がつくり、有料ライセンスを5ライセンスにすぐに増やしました。もともと会議で紙を利用していなかったので、全員がノートパソコンであったこともリスクを想定してのことでしたが幸いしました。

振り返って思うこと

 3月初旬に同業者のホームページなどから情報収集すると、電話対応時間の短縮・メールへの置き換えなどの対応をしている会社が大部分でした。弊社ではサービスレベルを下げずに済みましたが、逆に考えるとヘルプデスクの在り方を見直すチャンスを逸したという側面もあります。

 スピード対応できたことは誇るべきことですが、環境変化に合わせてサービスのあり方の見直しも常に必要だと考えます。

 次回は、テレワーク導入までの経緯について報告します。

「中小企業家しんぶん」 2020年 9月 15日号より