活動を止めない! 企業を守り、雇用を守り、地域を守る同友会として

コロナに負けない!全国事務局情報交換会(中同協)

 中同協新型コロナウイルス対策本部の方針の柱の1つ目「事務局間の情報交換の場づくり」として行われている「コロナに負けない!全国事務局情報交換会」。第7回と8回は、「小さな同友会でも対応できるBCP」について検討しました。その様子と参加者(矢作聖子・山形同友会事務局長)の寄稿を紹介します。

第7回 「小さな同友会でも対応できるBCP」とは

 9月11日、第7回がオンラインで開催され、22同友会および中同協から27名が参加しました。

 中同協新型コロナウイルス対策本部では、7月に「小さな同友会でも対応できる万能型BCP策定チーム」を設置し、東日本大震災や西日本豪雨の経験も参考にしながら、事務局のリスク管理のあり方について検討を重ねてきました。

 今回は『小さな同友会でも対応できる万能型BCP策定の手引き』1次案の紹介と意見交換、各同友会のBCPなどの交流をテーマに行われました。(「万能型BCP」の概要は10月5日号で紹介)

 はじめに策定チームメンバー(岩手・菊田哲事務局長、岡山・安本直一事務局長、高知・眞鍋麻美事務局長)がそれぞれ起草した部分について報告。「一番重要なポイントは問題意識や気づきを持つこと」(菊田氏)、「1度にすべての危機を対策することは難しいため、優先的なものから手をつけるべき」(安本氏)、「事務局が1人の高知同友会では、役員との協力がないと策定は難しい」(真鍋氏)など、各自の体験も交えてBCPの必要性、意義などを強調しました。

 各同友会の経験交流では、「BCPの形は作ったが、活用しておらず引き出しにしまった状態」「地震で被災した経験を機に2016年にBCPを策定し、年に1回見直している」など、それぞれの現状や課題を交流。出された意見などを踏まえ策定チームでさらに検討を進めていくことを確認しました。

第8回 『BCP策定の手引き』最終案を検討

 第8回は、9月28日に開催され、14同友会および中同協から18名が参加しました。

 第7回で提案された『小さな同友会でも対応できる万能型BCP策定の手引き』に意見交換の内容が反映され、第1版として提示。前回の情報交換会以降に反映された内容が策定チームメンバーから報告されました。

 意見交換は、「事務局長の役割」や緊急時の「運動」の継続、役員と事務局の関係構築、会員企業の強靭化の課題などに及びました。

 その後行われた情報交換会では、以下のような意見が出されました。

▼事務局で策定チームをつくっており、今回は考え方の部分が参考になった。運営体制と基本方針のたたき台はつくった。主要業務の洗い出しは大変な作業だが、重要であるため、現在取り掛かっている段階(京都)
▼事務所が3つの拠点に分かれているため、それぞれにBCPが必要だと感じており、それぞれチームをつくっている。事務局の業務継続は会員の経営を守ること。そして、地域を守ることが必要(広島)
▼中企庁のホームページにあるマニュアルで策定したBCPは、年に1度見直しを行っている。防災計画・緊急対応計画・事業継続計画の3つの違いと関係性を理解することができた(大分)

【寄稿】活動を止めない同友会づくりを

山形同友会事務局長 矢作 聖子
 第7回「コロナに負けない!全国事務局情報交換会」はBCPをテーマに行われました。比較的災害が少ないと言われている山形でも、ここ数年は豪雨や台風による水害、山形県沖地震などがあり、BCPの必要性を感じてはいるものの、断片的な対応になっていることが多く、先送りとなっていました。

 事務局の育成をはじめさまざまなことがある中で、今回の事前資料を読んでいくうちに、「事務局長とはこういうことなんだ」と、改めて読み返しました。事務局長は誰でも、「こういう同友会をつくりたい。事務局をつくりたい」と展望を持っています。誇りを持って貫くことが大事なんだといわれているように感じ、励まされました。

 交換会では、いろいろなことに気づくことができました。何よりも優先されるべきことは、事務局員の命を守ること。言葉で言うのは簡単ですが、覚悟をもってそのための取り組みがなされていたのかを問いかける機会となりました。

 実際に7月の豪雨時には事務局の終業時間を繰り上げるかどうかで迷いました。被害にあった会員の方からは「予報から通常よりも早く帰宅させる予定だったが、予想よりも水が増す速度が速く、覚悟を決めて予定時刻前に全員の帰宅を指示した。あと30分遅かったら」と、瞬時での判断の難しさを聞きました。

その時におかれる状況は局員一人ひとり、それぞれ違っています。そのために日ごろより一人ひとりに危機意識を伝え、どう準備していくかが大切になってくることを痛感しました。

 また、地域の砦(とりで)としての活動を止めない同友会づくりをどうしていくのかも大きな課題です。事業継続に影響を与えるリスクについては、今まで想定していなかったリスクがあることにも気づくことができました。

 今回示された策定の手引きは「こういうことを考えるべきでは」との提起と、文書化を進める上で参考になる内容であり、事務局長への励ましのメッセージに感じました。こういうことを事務局全員でリスクの洗い出しから考え、それらを認識し、事前に対策できることを計画的に進め、備えることが大事であると思いました。

「中小企業家しんぶん」 2020年 10月 15日号より