特集【コロナ禍の中、発信力を高める広報の取り組み】活動情報の集積が会を活性化~情報のSTUV【兵庫】

河野事務局長から

 兵庫同友会の会活性化への取り組みの1つとして、支部とブロック会の活動状況を数値化した「活性化表」というデータ・情報の見せ方があります。2012年までは兵庫同友会の中で注目される数字はただ1つ、毎月の支部ごとの会員数や入会・退会者数でした。しかしこれでは現場で活動しているブロック会(支部の中にある小グループ)の数値は見えてきません。

 そこで日々奮闘するブロック会長を主人公にすること、また例会などの参加率を数値として可視化することと、会員一人ひとりの動向を見える化することにこだわり、グラフや表を使用して毎月発表することにしました。その活性化表を基に、半期ごとにブロック長や支部長を表彰する取り組みもしています。

 会員数の増減、例会参加率など上位から下位へと表にして載せた活性化表を受け取ると、役員さんは3つのことが気になるそうです。1つは自分のブロックが全体のどのあたりに位置しているか、全県平均を上回っているのかを確認します。2つ目は参加率が下がっていればその原因を考察、そして3つ目はその推測したものを基に行事参加を促すなど行動に移します。

 事実の断片であるデータは羅列して見せるだけでは役に立ちません。データを何かを感じる意味のある情報(インフォメーション)にして、さらに誰もがわかる1目瞭然の情報(インテリジェンス)に高めて、行動に移せるような見せ方にするということが大切です。兵庫同友会として着実に強い組織づくり、またこうしたデータをもとにした会活動の提案に取り組んでいます。

西良旺子氏から

 広報委員会には、11支部と2部会から20名以上が参加しています。月1回開催しており、年4回は広報委員会の終了後に勉強会を開催しています。会報誌「DoyuHyogo」を毎月発行しており、全支部でページをもって企業訪問などをしております。今年は開催できませんでしたが、中間研修の合宿も年1回開催しており、マスコミとの懇談会も定期的に開催しています。2019年度は広報委員会と経営環境改善委員会で担当し、景況調査の発表をもとに懇談を行っていました。

 同友会は会員が直接会い、生で経営体験の報告を聞くことも大きな特徴です。しかしこのコロナ禍で活動が事実上ストップしてしまい、会って話ができません。そこで、広報委員会で何かできないかと考えて、Facebookを使ってライブ配信を行うことにしました。情報発信は頻度がないと意味がありません。そこで、週2回ZOOMを使用して会員へのインタビューを行い、Facebookページにライブ配信しています。5月から配信を開始し、記念すべき初回は兵庫同友会代表理事の藤岡義己氏です。配信に至り広報委員全員で分担してインタビューすることとしました。時折ハプニングはありましたが、ヒアリングやライブ配信の体験を通じた学び合いにもなりました。この動画はYouTubeにアップロードし、兵庫同友会ホームページ「クロジノ」上でも視聴できるようにしています。ホームページにはブログコーナー「クロジノツボ」で専門家による連載もスタートし、こちらも月7~8回投稿されています。

 Facebookの配信動画は、初回の藤岡代表理事の動画は1000回以上再生されており、インタビュー中にインタビュアーの私が泣いてしまうくらい、実際に経営者として考えていることを包み隠さず生の声で伝えた動画は、たくさんの方に視聴され感銘を受けたという声があがっています。

 今は委員会後の勉強会もZOOMで再開し、ホームページについて学ぶ勉強会などを開催しています。

 このコロナ禍では今まで以上に情報を「伝えること」が重要になります。情報というのはシンプル(Simple)に、一部だけを見るのではなく全体思考(Total)で、誰が見てもわかるようにあなた目線(U:You attitude)で、ビジュアル(Visual)でのSTUVが大事です。

 また、情報というのはモチベーションを上げるものでないと意味がありません。自社でも情報を発信し社員に伝えるということもあると思いますが、モチベーションを下げることでなく上げるような形で情報を伝えてほしいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2020年 11月 5日号より