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コロナ禍での未来志向型の取引慣行の課題

首相官邸のホームページに「第14回下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ」の資料として、中小企業庁より「未来志向型の取引慣行に向けた重点5課題に関する取組の進捗状況」がありました。コロナ禍の経済状況を踏まえつつ、取引適正化に向けた5つの重点課題を一層推進するとあります。

その5つとは、(1)知的財産・ノウハウの保護、(2)働き方改革に伴うしわ寄せ防止、(3)型取引の適正化、(4)支払条件の改善、(5)価格決定方法の適正化です。この資料には、実際の取引慣行の課題の事例も多数掲載されており、その問題の大きさがわかります。

例えば、「親事業者から、BCPを背景に当社しかできない技術的機密事項を求めてくることがある。内製化される懸念がある(産業機械)」「親事業者から、ファクタリングのサイトを120日から160日に変更したいという要請があった(電機・情報通信機器)」「当社が納品している製品を事前のアナウンスもなく、親事業者が内製を開始してしまった(産業機械)」「親事業者の業務改善・業務の効率化を理由に、親事業者が行っていた業務を当社で行うための設備投資(100万円以上)を要請された(自動車)」などの事例が掲載されていました。

下請け事業者にしわ寄せすること、金型などの保管料を払わない、技術や製品を勝手に内製化してしまうなどの取引慣行は聞いていましたが、BCPを理由として技術的機密事項を要求するとは驚きました。

また、新型コロナの影響に伴う事例もありました。「ほぼすべての取引先から納期延期の要望があり、いつ引き取ってくれるかわからない」「親事業者のテレワークに伴い発注が通常業務よりも遅れており、短納期発注が増えている」「エンドユーザーからの受注がキャンセルになったため納品数量を減らしてほしい」などの問題のある事例がありました。

一方で、「親事業者が新型コロナの影響により発注数量が減った分の値上げを行ってくれた」「コロナの影響で売上が減少し、資金繰りが厳しくなったが、親事業者が支払いを早めてもらえた」「支払方法とファクタリングから全額現金払いに変更してくれた」などのよい事例もあります。

今後の課題は、インボイスのない免税事業者との取引です。免税事業者の領収書では消費税の控除ができないため、消費税10%を発注側・仕入側が負担しなければなりません。このインボイス制度は取引慣行をひっくり返すものであり、未来志向の取引慣行のためにも、政府は速やかに撤回すべきものです。

取引慣行の課題は、従来からあるものではありますが、働き方改革やコロナ禍の中で、親事業者が下請け事業者にしわ寄せすることなく、本当に取引先を大事にしているかどうかが顕著になっていると思われます。

同友会会員企業はコロナ禍の中で、取引先と共育ちの精神で、この危機を突破していきたいものです。

(I)

「中小企業家しんぶん」 2020年 11月 15日号より

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