【報告】新型コロナ第4次会員企業影響調査 マイナス影響「出ている」6割で高止まり

デジタル化・IT化の課題は「社内の体制や仕組み」「費用対効果」

中同協は、新型コロナウイルスの第4次会員企業影響調査を実施(9月15~30日)し、22同友会2155社分の集計をまとめました(11月25日号で速報)。経営へのマイナスの影響が「出ている」と回答した企業は6割となり、依然として高止まりしています。

マイナスの影響「出ている」企業は60%

新型コロナウイルス感染症拡大による経営へのマイナスの影響が「出ている」と回答した企業割合が前回(7月)から微増の59・6%となり、依然として高止まりしています。一方、「今後マイナスの影響が懸念される」との回答は21・8%と前回より5ポイント減少しました。

業種別でみると、マイナスの影響が「出ている」割合は製造業(77・2%)、流通・商業(64・1%)が高くなっています。建設業は40・4%と低くなっていますが、「今後マイナスの影響が懸念される」との回答は建設業で40・9%と非常に高く予断を許さない状況です。(図1)

売上減少企業は56%、30%以上減も約2割

8月の売上(前年同月比)は、全体では増加と回答した企業が24%、減少と回答した企業が55・7%となっています。30%以上減少したと回答した企業も依然として2割近く存在し、厳しい状態が続いています(図2)。業種別で減少したと回答した企業を見ると、製造業(72・3%)、流通・商業(60・8%)で割合が高く、建設業(43・0%)、サービス業(48・3%)では低くなっています。

6割の企業が借入実施、中長期の資金繰り対策・支援が必要

新型コロナの影響を受けての資金繰り面での対応としては、借入を行った企業は約6割にのぼりました。返済計画の見直しを行った企業や借入交渉中・相談中の企業も含めると約7割の企業が対策をとっていることになります。(図3)

手元資金と追加融資で耐えられる期間については、「2年以上」(26・2%)、「6カ月~1年未満」(18・9%)、「1年~1年6カ月未満」(18・5%)の順に回答が多くなっています。今後のさらなる借入については、「可能」(39・9%)、「おそらく可能」(29・1%)を合わせると約7割となっていますが、規模の小さい企業ほど「可能」という割合が低くなっています。

新型コロナの影響の長期化も懸念される中、国への要望として「コロナ収束まで現在の資金、雇用、新規事業への支援策を継続してほしい」の声も多く見られます。長期的な資金・財務対策も含めた企業の対応と国などの継続的支援が重要となっています。

下請型の3社に1社が「不公正」指摘

新型コロナウイルス感染症の発生以降、取引において不公正・不合理と感じることについては、「特にない」が約8割を占めました。独立型・下請型で分けると、独立型では「特にない」企業の割合が高い(83・7%)一方、下請型では67・9%と15・8ポイント低く、3社に1社が何らかの不公正・不合理を感じています。下請型で不公正・不合理と感じることは「短納期発注」(8・7%)、「不合理な価格低減要請」(8・0%)、「取引停止・発注の取り消し」(6・8%)の順に多くなっています。(図4)

「オンライン会議の導入」は4割

新型コロナへの対策としてデジタル化・IT化で新たに取り組んだこと、強化したこととしては、「オンライン会議の導入」(38・8%)、「リモートアクセス環境の新規・追加導入」(21・7%)、「PC、モバイルデバイスの追加購入・追加支給」(21・1%)の順で多くなっています。一方、「特にない」(32・6%)も3社に1社の割合でありました。(図5)

デジタル化・IT化を進める上での課題としては、「社内の体制や仕組み」(40・3%)、「費用対効果」(38・1%)、「投資費用」(27・1%)などが多く指摘されています。国への要望としても「IT化・生産効率化への情報提供や補助金拡充」、「ITアドバイザー的な顧問契約の補助があるとIT化を進めやすくなり、うれしい」などの意見が多く見られました。

7月調査では、アフターコロナの経済・社会で「デジタル化・IT 化」が進むという見方が一番多く示された一方、「経済格差・差別の拡大」が進むと見る人も少なくありませんでした。デジタル化・IT化が格差拡大につながるのではなく、全体の底上げにつながる方向で進められることが求められます。

※調査結果の詳細は中同協のホームページDOYUNET参照
https://www.doyu.jp/news/201029-171446.html

「中小企業家しんぶん」 2020年 12月 5日号より