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【同友会景況調査(DOR)概要(2020年10~12月期)】コロナ禍からの復調じわりも 依然厳しい不況下

〈調査要項〉

調査時点 2020年12月1~15日
調査対象 2,288社
回答企業 944社(回答率41.3%)(建設175社、製造業293社、流通・商業274社、サービス業190社、その他12社)
平均従業員数 (1)39.4人(役員含む・正規従業員)(2)35.2人(臨時・パート・アルバイト)
※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)は、好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが-100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。
 好転・悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考えで作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

景況感、コロナ禍直前の水準に持ち直す

日銀の12月短観(全国企業短期経済観測調査)によると、業況判断指数(「良い」-「悪い」割合)は大企業製造業がマイナス10と輸出や生産活動の持ち直しを反映して24半期連続の改善となりました。中小企業の景況感も低水準ながら改善しています。ただし、調査実施期間となる11月後半以降に感染再拡大が進んだことから、先行きへの警戒感も強まっています。

DOR10~12月期の業況判断(「好転」-「悪化」割合)でも△45→△30、業況水準(「良い」-「悪い」割合)も△36→△19など、主要指標はいずれも15ポイント超の改善となりましたが、調査開始以来最大の下落幅を記録した4~6月期の直前の水準(1~3月期)に戻ったという段階です(図1)。

次期は先行き不安感を反映し停滞見込み

2期連続の改善はすべての業種、地域、企業規模でみられ、今期はコロナ禍直前の水準に持ち直しましたが、次期以降は先行き不透明感も強く、厳しい見通しとなっています。DORの主要指標では、次期の業況判断DIは△30→△27とわずかに上昇、業況水準DIは△19→△30と悪化を見込んでいます。売上高DI、経常利益DIの持ち直し基調は鈍化します。業種別にみると、悪化の度合いが厳しかった製造業を除いた業種での停滞が響いています(図2)。

資金繰り余裕感が強い反面、短期資金の借入金利はわずかに上昇

景況悪化への対応策として、DOR回答企業においても早くから資金対策の動きが見られました。資金繰りDI(「余裕」-「窮屈」割合)は2020年1~3月期から余裕感が増加し、今期も25→27と余裕感が強い傾向は続いています。ただし、借入金の有無(「有り」の割合)は78%で3期ぶりに8割を下回り、借入を行っている企業の借入金の増減DI(「増加」-「減少」割合)も短期、長期ともに減少しました(図3)。

資金借り入れの動きは1 年以上前と比べれば非常に高くなっていますが、2020年4月以降との比較では落ち着いてきたとみられます。とはいえ、借入金の返済に迫られる企業も出始めており、年度末に向けて手元流動性の管理にはいっそうの注意が求められます。

人材不足問題再び

雇用面では、正規従業員数DI、臨時・パート・アルバイト数DI(いずれも「増加」-「減少」割合)は△15→△7、△20→△10と「減少」回答の企業割合は低下しました。全業種で度合いが弱まる傾向にありますが、両指標で唯一プラス水準に達した建設業と、劇的に急落した製造業との差は大きいままです。

人手の過剰感DI(「過剰」-「不足」割合)は△7→△17と不足度が強まりました。経営上の問題点で「従業員不足」、「熟練技術者の確保難」の指摘割合が再び増加していることからも、その傾向を裏付けるものとなっています。業種別では製造業のみ過剰超過(4)、最も不足度が強い建設業(△47)との差が大きく、正規従業員数DIなどの指標と同様の傾向がみられました(図4)。

ポスト/ウィズコロナに向けて人材確保、社員教育への力点強化へ

10~12月期の設備投資の実施割合は35%と前期並みですが、前期で見込んでいた計画割合を上回った点や設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)も不足感を強めている点などから、厳しい状況下ながら設備投資が実施されていることが分かります。ただし、実施目的に着目すると「情報化設備」などコロナ危機に伴ったハード面での投資は一巡し、今期からは「ポスト/ウィズコロナ」を見据えたDX(デジタルトランスフォーメーション)への人材育成などソフト面の投資にシフトした感もあります。

経営上の問題点では「民間需要の停滞」が4期連続でトップの指摘割合となりましたが、その割合はやや低下し、「従業員の不足」が再浮上してきました。経営上の力点においても「人材確保」、「社員教育」が増加傾向を示し、経営継続とさらなる経営力強化の要として人材への注力を象徴する傾向がみられました(図5)。

〈会員企業の経営環境の変化・課題に対する記述から〉

1.情勢変化、ニーズの変化への対応

〇事業所在地でコロナ感染が拡大し、市中感染リスクが高まった場合、今回新規に賃貸した工場と現工場の2カ所に分散して、事業(生産)継続することができるよう準備している(岩手、配電・制御盤設計製作業)
〇土産市場から量販市場へのシフトチェンジ(愛知、菓子製造販売)
〇GO TO関連が始まり街に人は増えたが、これまでの売上には程遠い。忘年会の予約はほぼないが、個人客の客層は増えており、小分け、分散型の宴会などは増えそう(京都、飲食業)

2.DXを視野に入れた対応

〇ITシステムを構築し、テレワークをはじめリモートワークの推進に取り組んでいる。これからは情報の処理能力や顧客のニーズを読み取る総合的な力を醸成することが大切であると考え、社員教育を行っている(大阪、流通・商業)
〇1~2年後の社会を見越し新たな市場を作り出すことに挑戦し続けている。特に、新しい事業ドメインの開拓と新製品の研究を試みている(東京、製造業)
〇テレワーク、オンライン化で経費削減(兵庫、化粧品販売業)

3.人材確保、社員教育

〇社内組織の再編とデジタルシフトに応じた社員研修・教育訓練の実施(長野、Web、動画の提案と製作、印刷広告)
〇社内研修でチームビルディングを実施。社内コミュニケーション、情報の共有で社内の信頼関係の向上に努める(滋賀、包装材料製造卸)

「中小企業家しんぶん」 2021年 2月 5日号より

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