【知っておきたい新型コロナ対策】vol.9 コロナ禍における持病の管理

OHサポート(株) 代表/産業医 今井 鉄平(神奈川)

 経営者にぜひ知っておいていただきたい新型コロナ対策情報連載(全10回)の9回目になります。今回のテーマは「コロナ禍における持病の管理」についてです。

 全国的に新型コロナウイルス感染が急拡大している中、感染リスクへの不安から、かかりつけ医への通院や持病の薬の内服を中断してしまっている従業員もいるものと思われます。しかしながら、持病の管理を怠ることで、脳卒中や心筋梗塞などの発作を起こしてしまう危険性もあります。これは場合によっては、新型コロナウイルスに感染するリスクよりも高いといえるかもしれません。コロナ禍だからこそ大事な持病管理、しっかりと従業員にメッセージを伝えていくことが大事です。

 まずは持病を持つ従業員だけでなく、全体に対してコロナ禍で特に乱れがちな生活習慣への注意喚起を行うことが重要です。

 コロナ禍で懸念される生活習慣の変化として、運動不足、保存食を食べる機会の増加(買い物を控えることで)、飲酒量や喫煙本数の増加などがあげられます。

 これらは生活習慣病のリスクとなりますので、コロナ前の生活を基準に変化が大きくなりすぎないよう従業員にメッセージを伝えていきましょう。

 また、血圧や体重は健康状態の重要な指標となりますので、従業員に定期的にこれらのモニタリング(自己測定)を行うよう推奨しましょう。

 次に持病を持つ従業員に対してですが、通院を中断したり、内服薬を切らすことがないよう注意喚起をしていくことが重要です。

 持病が悪化してしまう危険性に加え、もし脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまった場合、医療体制がひっ迫してしまっている状況下ではスムーズに医療機関につながらない危険性も十分に考えておく必要があるでしょう。

 持病の管理のためとはいえ、病院へ行くことへの不安が強い従業員については、オンライン診療(ビデオ面談や電話での診療、FAXでの処方箋の送信など)の活用につき主治医と相談するように勧めることも1つの方法です。

 また、混んでない時間帯で通院ができるように、会社で業務の配慮をするのも1つでしょう。

 なお、オンライン診療に対応している医療機関の情報については、厚生労働省のサイト(「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」)に都道府県別の病院リストが掲載されていますのでご参照ください。

「中小企業家しんぶん」 2021年 2月 5日号より