トピックス

9割の企業でポストコロナ対策の実施・検討中 情報収集や自社内での実施を中心に取り組み

2020年10~12月期DORオプション「中小企業におけるポストコロナへの取り組みについてのアンケート調査」結果より

広島経済大学メディアビジネス学部 教授 田浦 元
(中同協・企業環境研究センター委員)


 2020年10~12月期の同友会景況調査(DOR)では、ポストコロナ社会に向けた企業の取り組みについてオプション調査を行いました。その結果について、中同協・企業環境研究センター委員で広島経済大学メディアビジネス学部教授の田浦元氏に分析・執筆していただきました。

 新型コロナウイルスの収束の見通しは、いまだ見えていない。2021年1月には、2回目となる緊急事態宣言が発令された。しかし一方で、ポストコロナ社会、ウィズコロナ社会への対応についても、行動を起こさなければならない時期に来ている。中小企業家同友会全国協議会(中同協)は、「中小企業におけるポストコロナへの取り組みについてのアンケート調査(以下、ポストコロナ調査)」を実施した。このポストコロナ調査は、2020年12月に実施され、915社から有効回答を得ている。このポストコロナ調査の概要について見てみよう。

ポストコロナに向けた対策

 ポストコロナ調査では、「ポストコロナに向けて貴社では対策をしていますか」として、ポストコロナに向けた対策の有無を聞いている(図1)。回答割合は、「対策している」が46.0%、「検討中」が41.0%、「考えていない」が13.0%である。

 すでに何らかの対策をしている企業と、対策を検討中の企業を合わせると87.0%になる。多くの企業がポストコロナ社会に向けた対策をすでに始めている、あるいは、対策が必要であると考え、検討を始めていることがわかる。

事業活動についてのポストコロナ対策

 「対策している」および「検討中」と回答した企業には、「どのような対策をしていますか(あてはまるものすべてに0)」として、対策の具体的内容を聞いた。具体的内容は、事業活動面と労務管理面の2つの面に分けて聞き、いずれも複数回答である。

 はじめに事業活動についての回答割合を見てみよう(図2)。最も回答割合が高いのは「情勢・市場動向の情報収集」(53.6%)である。次いで、「各種支援策の活用・情報収集」(41.4%)、「新商品・新サービスの開発、研究」(40.6%)、「営業・販売のしくみの見直し」(37.5%)となっている。回答割合が30%を超える回答選択肢はこれら4つであり、これら4つの回答割合が高いことがわかる。

 このうち上位2位は、「情勢・市場動向の情報収集」、「各種支援策の活用・情報収集」であり、情報収集など、実施のハードルの比較的低い対策から始められていることがわかる。しかし他方で、早くも「新商品・新サービスの開発、研究」や、「営業・販売のしくみの見直し」を実施している、あるいは検討を開始している企業も多いことが示されている。

労務管理についてのポストコロナ対策

 次に、労務管理についての具体的内容について見てみたい(図3)。最も回答割合が高いのは、「社員の健康管理」(55.5%)である。次いで、「社内ルールの見直し・整備」(46.6%)、「社内でのソーシャルディスタンス確保」(39.5%)、「社員教育」(36.6%)、「社内会議などのオンライン化」(33.0%)となっている。回答割合が30%を超える回答選択肢はこれら5つである。

 労務管理についての対策では、「社員の健康管理」が際立って高いことがわかる。社員同士および社員と顧客との間での感染拡大を防ぐための対策として、社員の健康管理が重要であることが広く認知されていることがわかる結果である。

 労務管理についての上位5項目は、いずれも主に自社の内部で実施できる対策である。また、いずれの対策も実施のハードルはそれほど高くない。これに対して、「営業活動のオンライン化」(20.9%)の回答割合は高くない。「社内会議などのオンライン化」に比べて12ポイント以上も低い回答割合となっている。同じオンライン化でも、自社の内部でできる対策については比較的簡単に実施できるが、顧客や取引先を巻き込んだ対策は実施しにくいということが顕著に表れた結果となっている。

 また、「テレワークの導入」(26.8%)、「出退勤時間の見直し」(16.8%)の回答 割合も高くない。

対策しない理由

 他方、ポストコロナに向けた対策を「考えていない」と回答した企業に対して、その理由を聞いている。「その理由は何でしょうか(該当するもの1つに0)」として聞いている(図4)。

 この回答割合は、「どのように検討したらよいかわからない」(47.6%)が最も高い。次いで、「検討する必要性を感じない」(24.2%)、「まだ検討する時期ではない」(21.8%)となっている。この調査結果から、現在ポストコロナに向けた対策を検討していない企業についても、その多くでは対策の必要性は感じていることがわかる。

ポストコロナ社会に向けた課題

 新型コロナウイルスの国内でのまん延が始まってからおよそ1年が経つ。収束の兆しはまだ見えないが、多くの企業がポストコロナ社会への対応を始めている、あるいは検討を始めつつあることが、このポストコロナ調査から明らかになった。多くの企業が自社内でできる対策を進めている一方で、社外への影響がある対策はなかなか実施できていない。ポストコロナへ向けた社会全体での意識改革が必要である。

「中小企業家しんぶん」 2021年 2月 15日号より

このページの先頭にもどる

トピックス

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS