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【知っておきたい新型コロナ対策】vol.10 感染者の職場復帰の際に注意したいこと

OHサポート(株) 代表/産業医 今井 鉄平(神奈川)

 経営者にぜひ知っておいていただきたい新型コロナ対策情報連載(全10回)の最終回になります。最後のテーマは「感染者の職場復帰の際に注意したいこと」についてです。

 新型コロナウイルス感染症のまん延期において、企業内で感染者が出るリスクは今まで以上に高まっています。職場で感染者が出た場合の対応に加え、感染者が職場復帰する際の対応についても各企業で検討しておくことが重要となります。

 感染者の職場復帰の目安については、発症から少なくとも10日が経過していること、および症状消失から3日が経過していることの2つを満たすことが重要となります(厚生労働省で定める退院基準・宿泊療養等の解除基準)。発症から7日程度で新型コロナウイルスの感染力は大幅に低減することが分かっており、職場側の不安を理由に、いたずらに上記目安を超えて職場復帰までの期間を遷延(せんえん)させないようご注意ください。もちろん、何らかの後遺症が残っており、すぐの職場復帰に従業員が不安を感じている場合は、本人の意向も踏まえて復帰時期を調整することも大事です。

 復職に際して、従業員に自費PCR検査を受けさせるなどの陰性証明を求めることがいまだに問題となっているようです。退院・自宅療養解除後にPCRが仮に陽性になっても、それは感染性をもっていることを意味しておりません。また、ただでさえ感染したことや職場を長く休んだことへの強い不安を感じている従業員に、さらなる負担を強いることになってしまいますので、くれぐれも陰性証明を求めることのないようご注意ください。

 周囲からの差別が起きる可能性にも注意したいところです。職場復帰した後に周囲から白い目で見られるといった状況が発生すると、影響はその従業員だけに留まりません。職場で新たに体調不良を感じる従業員が出ても、なかなか会社や周囲に申し出にくい雰囲気をつくってしまうことでしょう。従業員からすると、体調不良を申し出ると自分も差別を受けるかもしれないという不安もあり、無理をして出勤してしまうという行動につながりかねません。その結果、職場の集団感染リスクを高めてしまいます。職場復帰のルールを明確化し感染者に対して不当な扱いをしない、従業員に対して感染者への差別をしないというメッセージを経営者から発信することも重要です。

 本連載は今回が最後になりますが、「コロナに負けない全国掲示板」に新型コロナ対策関連情報を今後も定期的に投稿させていただきますので、ぜひご参照いただけますと幸いです。

〈プロフィール〉

今井 鉄平(OHサポート(株)代表/産業医)
産業医科大学医学部医学科卒業。大手企業での15年以上にわたる専属産業医勤務を経て、2018年4月にOHサポート株式会社を開設、中小企業向けの産業医サービス提供を主業務としている。日本産業衛生学会専門医、医学博士。

「中小企業家しんぶん」 2021年 2月 15日号より

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