東日本大震災から10年~試練を教訓に 震災から学んだ4つの教訓【福島】

災害は、確かに起きないに越したことはありません。しかし、一方で私たちに多くの教訓、学びも与えてくれます。

復興指針書

福島同友会にとって、その第1は「復興指針書」です。発災20日後の3月31日に、同友会震災復興指針書「企業存続・地域再生のための行動指針」を発表したことで全会員が1つにまとまることができました。これは、1995年阪神大震災の兵庫同友会の経験と教訓。そして同友会3つの目的や自主・民主・連帯の精神、地域とともに、「労使見解」をバックボーンとする「同友会理念」から学び策定したものです。

全国同友との連帯

2つ目は、「全国同友との連帯」です。

中同協震災復興対策本部を中心とした全国各地からの義援金、支援物資が復興への物心両面からの支えとなり全国4万7000名の連帯の精神を肌で感ずることができました。

激動を友に

3つ目は、「激動を友に」という同友会精神を福島同友会の体質化、共有財産化できたことです。さすがに大震災の年は年間約100名の会員を減らしましたが、震災3年後の2014年には震災前の会員数を回復。直接被災地の相双地区は翌年10月には87社中84社が事業再開、いわき地区は5年後の2016年2月会員数300名を達成。まさに困難・激動、逆境をバネに会員も同友会も前進してきたということができます。

大震災の検証と教訓の継承

福島同友会では、世界に類を見ない震災による原発事故、それに伴う放射能災害と向き合ってきた福島の10年。その教訓を整理、検証、継承していく活動に力を入れてきました。

震災から2年後の2013年2月、相双地区が震災記録集『逆境に立ち向かう企業家たち』を発刊。また、5年後の2016年7月、全県下会員113名の自筆からなる5年間の震災記録集『逆境を乗り越える福島の企業家たちの軌跡』を発刊。7年後の2017年11月に再度全会員アンケートを実施。これらの経験、教訓を整理し2019年2月「原子力災害を伴う震災復興経営指針」をまとめ長崎全研の分科会で発表しました。

この指針書は、頻発している各種の災害を乗り越え生き抜く確かな「万能型経営指針」としてコロナ禍にも十分生かせる内容となっています。ぜひ、全国同友の皆さんに広く活用いただきたいものです。

「中小企業家しんぶん」 2021年 3月 15日号より