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【強靭な組織をつくる!】第2回 ビジネス継続(BC)とは

一般財団法人危機管理教育&演習センター 理事長 細坪 信二

 新連載「強靭な組織をつくる!」。第2回目は、前回に引き続き細坪信二氏(一般財団法人危機管理教育&演習センター理事長)より「ビジネス継続(BC)とは」をテーマに考えます。

ビジネス継続(BC)とは

 営業力の強化は企業の存続に欠かせないものであり、日ごろから営業力を強化し受注を増やすことが求められる。しかし、工場のキャパシティーを上回るような大量受注があると、一転して、工場の責任者から「そんな大量の製造ができるわけない!」と怒鳴られ、逆に注文をお断りしてしまうというような状況に見舞われることがある。米国ではこのような状況を「Business Continuity ができていない」という言葉を使う。一方、わが国では、たとえ受注を断ったとしても工場が稼働しているかぎり「事業継続ができていない」という言葉は決して使わない。このように英語で使う「Business Continuity」の意味と日本で示す「事業継続」という言葉には大きなギャップがあり、「Business Continuity(ビジネス継続)」が正確に訳されていないということを、まずは認識していただきたい。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、治療に必要な「人工呼吸器」が不足し、世界中で増産が進められる中、ある人工呼吸器メーカーは工場のキャパシティーを上回る事態に見舞われた。平時の営業活動であればお断りするところだが、自社の工場より技術力があり、施設・設備が整っていて、人材が豊富な大手工場に生産協力してもらうことでその大量受注を受けることができた。まさに、「Business Continuity ができた」という事例である。今回は政府の求めであったことや命を守るという使命感から対応したものであろうが、ほかの業種であっても、自社で対応できない場合に、どうすれば対応できるのかという方法論(事業継続戦略)を検討しておき、事前に準備しておくことが重要である。

ビジネス継続と商売継続

 一方、災害大国であるわが国でありながら「災害に見舞われたらしょうがない」「壊滅的な被害に見舞われたら廃業しかない」というあきらめの言葉をよく耳にする。従業員のことを思っての言葉であろうが、本当にそうなのか? むしろ、災害に見舞われた時だからこそ、社員一丸となってお客様に応えるべきではないだろうか。また、社員は家族であるというのであれば、「廃業」という最終手段を軽はずみに言葉にするのではなく、組織が困難な状況だからこそ、社員と共に乗り切っていくという姿勢が求められる。しかし、事前にビジネス継続に取り組む経営者が少ないのは残念である。

 東日本大震災に見舞われた企業の中には、廃業を覚悟していた経営者とは反対に、「何としても継続するんだ、復旧するんだ」という従業員の言葉や対応に励まされ廃業を思いとどまり、今では立派に再建を果たしておられる例も語りつくせないほどある。事前にビジネス継続に取り組んでいない経営者ほど、いざという時に一生懸命に組織の生き残りをかけて対応する実例を数多く見てきた。

 「Business Continuity」の「ビジネス」を商売と訳し、「商売継続」と読み替えてほしい。企業を継続するには、資金繰りが重要であり、緊急事態宣言であれ大規模災害に見舞われた時でも、お客様を第一に考え、キャッシュを止めないという本来の「商売継続」の趣旨を理解する必要があるのではないだろうか。

「中小企業家しんぶん」 2021年 4月 5日号より

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