物価の上昇 ~ 中小企業に大きな影響が

 現在、世界でインフレや物価の上昇が懸念されています。日本でも、ガソリン価格の上昇をはじめ、食料品、日用品などの値上げの報道も見られます。また、ウッドショック、アイアンショック、ミートショックなど急激な価格の上昇や、物流などの問題で発注しても品物自体がなかなか手に入らないということもあります。国際コンテナ貨物価格も高止まりしており、コロナによる労働力不足、物流コストの上昇を含めると、ポストコロナの需要の高まりとともに価格上昇が一層懸念されています。また、原油高や天然ガスなどエネルギー価格の上昇はグリーンフレーション(グリーン+インフレーション)といわれるようになりました。

 天然ガスの価格を見てみます。日本では、20年の平均価格8.31(USドル/100万BTU、以下同じ)でしたが、直近の22年1月には15.57と20年比187%となっています(表1)。アメリカでは20年2.01から22年で4.33となり20年比215%で2倍以上の価格です。ひどいのはヨーロッパで、20年3.24から22年28.26と20年比872%と9倍近い価格上昇となっています。日本は、世界で天然ガスを比較的高い価格で購入することになっていましたが、現在ヨーロッパは天然ガスの価格上昇が課題となっています。

 金属関係を見てみると、天然ガスほどではありませんが、上昇傾向にあります(表2)。いずれも直近22年1月と20年の対比で錫が244%、アルミニウムが176%、ニッケル162%、亜鉛159%、銅が158%、鉛が128%となっています。

 食料品で見てみると、同様に22年1月と20年の対比で、鶏肉は177%、トウモロコシ167%、小麦が146%、牛肉が128%と上昇しています。価格が下がっているのは米で86%となっています。

 素原材料やエネルギーの上昇が顕著になってきているだけに、大手企業では商品・製品価格への転嫁が進められ最終価格が上昇しています。しかしながら、中小企業ではなかなか価格転嫁ができないことも珍しくなく、物価上昇への対策は進めていく必要が出てきています。また家計や消費への影響も懸念されます。

「中小企業家しんぶん」 2022年 2月 25日号より