社会人として知っておくべき金融知識を学ぶ 金融リテラシー学習会を開催【岡山】

 岡山同友会は初の試みとして「金融リテラシー学習会」を企画し、日本証券業協会の協力により「社員編」と「経営者編」の2回をオンラインで開催しました。

 少子高齢化の加速に伴い、将来の公的年金の減額などが懸念される中、金融庁は国民の安定的な資産形成のために「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA(少額投資非課税制度)」などの普及を図っています。これらは英国のISA、米国の401kやIRAなどの制度に比べるとかなり見劣りのするものですが、それでも投資をするか否か、非課税メリットを享受するか否かでは将来の資産形成に大きな差が生じる可能性があることも事実です。また今年4月に成人年齢が引き下げられ、学生であっても親権者の同意なしに借り入れやクレジットカード作成などが可能になりました。こうした背景の下、若者の金融リテラシー向上の必要性は格段に高まっており、今年度からは高校でも投資などの金融教育がスタートしています。しかし、そうした学びの機会を与えられなかった社会人の多くは金融や投資の知識をほとんど持ち合わせておらず、お金の管理や資産形成については本人の判断に委ねられているのが実情です。

 読者諸氏の社員は、リボルビング払いやキャッシングにどれだけ金利手数料がかかるか、クレジット返済が遅れた場合は遅延損害金の発生に加えて一定期間事故登録(いわゆるブラックリスト)されることなどを理解しているでしょうか。また例えばインデックスファンドとアクティブファンドの違いについて理解しているでしょうか。

 本企画はこうした状況を踏まえて発案され、会員企業の社員に向けて社会人として最低限知っておくべき金融知識の啓発を目的に開催したものです。

 2月28日の社員編では、「社員のための『人生100年時代の資産形成ガイド』」と題して、人生の3大支出(教育、住宅、老後)の目安、預貯金と投資の違い、運用に係るリスクとリターン、長期・分散・積立の効果とドル・コスト平均法などの説明に加え、投資信託商品の選び方と運用のポイント、投資詐欺に遭わないための注意点などについて、日本証券業協会のインストラクターが説明を行いました。また事務局の投資経験者が、銀行の総合口座自動貸越しの仕組みや投資信託評価会社の紹介、金融機関による手数料の違いなどの補足説明も行いました。

 参加した社員からは「投資に関する興味が高まった」「投資は怖いイメージがあったが、将来の生活資金の備えに役立つことが理解できた」などの感想が寄せられました。

 また3月15日には、経営者編として「経営者のための『社員の資産形成ガイド』」を開催。中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)や企業型確定拠出年金(DC)、職場積立NISAなど、大きな負担なく会社として社員を支援することが可能な諸制度を紹介しました。参加者の反響を踏まえ、理事会は本学習会の定例化と拡充を決定。今後は関係省庁や外部団体との連携も視野に入れながら一層の充実を図る予定です。

 中小企業が日本の雇用の約7割を担うとすれば、国民の金融リテラシー向上もまた経営者の重要な役割の1つに数えられるのではないでしょうか。

「中小企業家しんぶん」 2022年 4月 15日号より