世界・日本の食料自給率

図1 世界の穀物の需給及び単収等の推移・表1 日本の食料自給率(%)

 農林水産省は2021年3月に「世界の食料需給の動向」について公表しています。世界の穀物の収穫面積、生産量、消費量のグラフ(図1)を見てみます。1960年を100として、2020年収穫面積は113となりそれほど増えていません。収穫できる田畑はもうすでに世界では限界を迎えているとも言えます。一方で生産量は330となっています。品種改良などの努力もあり収穫量は3.3倍になっています。同時に消費量も331となっているのを見ると食料需給は100%程度をなんとか維持していると言えます。今後、生産量が減り、消費量が増えると、実際に食べ物がないという状況が生まれます。

 そのリスクとして、食料全体では、需要面で世界人口の増加、所得の向上に伴う畜産物などの需要増加、バイオ燃料向け等農産物の需要増などのリスクがあること。供給面では収穫面積の減少、異常気象の頻発、砂漠化の進行、水資源の制約、家畜伝染病の発生、世界的な感染症拡大による労働者数の減少などリスクがあります。

 日本の2020年の主要農水産物の国別輸入割合では、農産物全体で約6兆2292億円を輸入しており、輸入割合ではアメリカが22%、中国が11%、カナダ6%、タイ7%、オーストラリアが7%となっています。政情が安定している国のシェアが高い状況ではありますが、輸出国が輸出規制をかけるということも懸念され、加えて、ロシアのウクライナ侵攻の影響も大きく、穀物の一大産地であり、世界中で食料確保の状況から、現在、食料価格が上昇傾向にあります。

 日本の食料自給率(表1)はというと、穀物全体自給率(飼料用含)では2020年で28%、カロリーベースで37%、生産額ベースで67%となっています。ここでは、飼料を含む食料自給率で見ると、日本が必要な食料の7割以上が輸入に依存していると考えるべきでしょう。

 世界中で食料需給上のリスクが高まっていることあり、食料のあり方について、フードロス問題も含めて考えるときかもしれません。

「中小企業家しんぶん」 2022年 4月 25日号より