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【連載】ポストコロナを見据えて~10回の研究から 第3回 新たな社会に求められる企業づくり~後編

 中同協新型コロナウイルス対策本部では、2020年9月から2021年8月にかけて10回のポスト・コロナ研究会を行いました。今回はポストコロナ研究まとめの第3回目です。

〈(4)「価値共創」を金融問題とともに〉

 コロナによる金融分野での課題は、短期的には資金繰り、中期的には追加借り入れと返済の長期化が予想されます。

 「伴走型支援」をすすめている地域金融機関に対し、積極的、定期的に決算書をもとに経営状況を開示するとともに、経営指針をもとに経済産業省のローカルベンチマークや内閣府の経営デザインシートで企業の未来図を共有しておくことで信用力が増し、信頼関係も強まります。事業計画の見直しにより収益改善を明確にし、改善していくことができます。

 長期的には、ポスト・コロナの好循環に向けて、事業改善の方向性を共有し、中小企業の活性化が地域金融機関の活性化につながるという「価値共創」についての共通認識を持つよう働きかけることで、地域経済エコシステムを実現し、地域の活性化を共に担う関係をつくることができます。

〈(5)人材育成と持続可能なビジネスの創出~地域課題への取り組み〉

 国際的にも、地域においても、危機や災害に強い安全・安心で住みやすい平和な環境をつくることが望まれています。一部の国や地域、企業や人だけが恩恵を被るのではなく、貧困化を克服し、だれ1人取り残さない持続可能な循環型経済をめざすことが望まれています。基本は1社1社、一人ひとりがその主体者であることを自覚すること、その環(わ)を担う重要な役割を中小企業が担っていることを自覚し、誇りを持ちましょう。

 地域に絆を結ぶリーダーともなる中小企業経営者自身が、同友会などで学ぶなど1人で悩まないことがまず大事ですが、地域における自社の役割は、経済循環だけでなく、地域社会全般を結ぶ社会的役割を担っていることに誇りを持ちましょう。地域の祭りやイベントのありようが変化し、直接接触する機会が失われる中で、地域の絆を結び、一人ひとりを孤独から解放し、地域の連携で人を育て、社会的課題に取り組むことも期待されています。

 また、エネルギーシフトなど地域内経済循環を担っていることを意識すること、地域を愛し中小企業で働くことに生きがい、やりがいの持てる企業をつくり、若者を迎え入れることは、地域の未来を豊かに育むことにつながります。

〈(6)企業づくりの基本「労使見解」の学びなおしと経営姿勢の確認〉

 「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)では、(1)結社の自由、団体交渉権の本質を描写しつつ、(2)対等な労使関係、人間中心のアプローチの核心をつき、(3)変革や危機を乗り越える強靭(きょうじん)性の基礎を説くなど、普遍的価値を反映しつつ、日本的で、持続可能性に寄与する労使関係のモデルをつくっていると評価されています。

 2019年には『働く環境づくりの手引き』、10人未満の会社でも就業規則をつくれる『就業規則のつくり方』の書籍を発刊。同年、中同協として「最賃の引き上げに関する見解」を(1)地域格差を是正する制度の創設、(2)社会保険料助成制度の創設、(3)取引関係の適正化の3点にまとめて発表しました。2020年からは「働く環境づくり強化月間」(2~3月)を設けて、(1)毎年36協定を提出すること、(2)社員とともに就業規則を見直すこと、の2点を全国で取り組むよう呼びかけています。また、日本経済の底上げのために社内最低賃金「時給1500円」を目標にしていくことも問題提起されています。

 「労使見解」が発表された時代は、大企業優遇施策のもとで財政、税制、金融、資材、下請関係、不公正取引など改善しなければならない課題が多くありました。労使交渉による急激な賃上げ圧力で、価格転嫁をいかにしていくかという課題の一方で、労使の信頼関係をどのように築くか、企業の内部要因や外部要因に起因する課題解決が起草のベースにありました。

 円安、ウクライナ問題も重なり、原材料・資材・燃料の高騰、賃上げへの対応を全社一丸となっていかにすすめていくか、さらに取引企業に負担を押し付けるのではなく、社会の発展と経済の発展の関係性を明らかにし、付加価値の増大で「共通価値の創造」をめざす姿勢が求められます。

「ポスト・コロナ研究まとめ」全文はこちらから
https://www.doyu.jp/news/220513-161458.html

「中小企業家しんぶん」 2022年 8月 5日号より

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