中小企業の事業継続計画(BCP)の取り組み

 2022年度版「中小企業・小規模企業白書」が「新たな時代へ向けた自己変革力」をタイトルに2022年4月26日に中小企業庁より公表されました。近年、コロナ感染症の流行、台風、豪雨や地震などの自然災害、エネルギー・物価の高騰、品不足など、中小企業の事業継続に大きな影響を与える事象が次々と起きています。第1章第5節では、中小企業の「事業継続計画(BCP)の取り組み」についてまとめられています。

 中小企業のBCPの策定状況の推移について、(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」によると、2021年5月で「策定している」が15%、「現在、策定中」が7%となっていますが、中小企業の85%がBCPを策定していないことになります。

 事業継続が困難になると想定しているリスクについては(図1)、「自然災害」が最も多く69.3%、「感染症」が60.0%とあります。それだけでなく、「設備の故障」36.5%、「火災・爆発事故」32.0%、「取引先の倒産」31.9%、「情報セキュリティ上のリスク」30.2%とさまざまなリスクが存在しています。「経営者の不測の事態」20.4%というのもあります。

 リスクを想定して、中小企業においてBCPを策定したことによる効果はどうなるでしょうか(図2)。「従業員のリスクに対する意識が向上した」が53.5%と最も高くなっています。つづいて「事業の優先順位が明確になった」33.4%、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」30.6%、「取引先からの信頼が高まった」24.7%、「業務の改善・効率化につながった」24.1%となっています。同友会では、あらゆるリスクに対応できる万能型BCP(事業継続計画)策定をめざし、各社の経営指針の中にも位置づけることが重要としています。

「中小企業家しんぶん」 2022年 8月 25日号より