OECD各国の今後の経済見通し

 2022年9月26日にOECD中間経済見通しが公表されました。コロナ禍を経て、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、原材料・食料・エネルギー・電気などあらゆる分野で物価が上昇しています。その中で、OECD各国の経済の見通しをどう捉えているのかを見てみます。

 世界の経済成長率は、2022年の3%から2023年には2.2%にさらに減速する見通しとなっています。前に予測されたペースを大きく下回ると見込まれ、2023年には、世界の実質所得は1年前に予想されたものよりも約 2.8兆ドル少なくなる可能性があるとあります。日本は、2022年で1.6%、2023年は1.4%と前回より0.4%予測を引き下げています。アメリカも、2021年5.7%の成長率が、2022年に1.5%と1%予測を引き下げ、2023年には0.5%とほとんど成長しないと予測されています。ユーロ圏も同様で、2021年5.2%から、2022年は3.1%、2023年には0.3%と1.3%も予測を引き下げています。

 中国経済も減速が見られ、2021年8.1%から2022年3.2%と1.2%も引き下げられ、2023年4.7%という予測になっています。中国はゼロコロナ政策が継続されており、ロックダウンによる影響と脆弱(ぜいじゃく)な不動産市場を背景に経済の減速が懸念されています。

 インフレも今後懸念されます。ロシアのウクライナ侵攻はエネルギーと食糧の価格を相当程度押し上げ、すでに世界中で生活費が急速に上昇していたタイミングでインフレ圧力を増加させました。インフレは多くの国・地域で広がりを見せており、食料・燃料を含むインフレ率は、G20各国では 2022年の8.2%となっています。世界ではインフレは落ち着くという予想もありますが、エネルギー価格、天然ガスの価格によっては、さらなる影響が懸念されています。日本でも、円安による輸入価格が急激に上がってきており、円安の影響による価格が転嫁されるのは、これからが本格的になると考えられます。この間の仕入れ価格上昇の転嫁もなかなか困難な中で、世界経済や日本経済の見通しもあまりよいとはいえず、危機に対しての対策が必要な状況となっています。

「中小企業家しんぶん」 2022年 10月 25日号より