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シリーズ「どうなる金融〜不良債権最終処理」
「中小企業家しんぶん」2002年4月15日号より

シリーズ12(最終回)

地域経済破壊する早期処理
地銀・信金重視して
金融アセスメント法の制定こそ


 4月7日のNHK日曜討論に出演した鋤柄修愛知同友会代表理事は、「銀行には潤沢に資金があるのに中小企業貸出は厳しくなっている、同友会の調査でも35%の会員がそのように回答している。銀行経営の健全化のため、リスクの高い中小企業への貸出がされないようでは、経済の再生を担うべき中小企業が立ち行かなくなってしまう」とその窮状を訴え、それを受けて経済財政諮問会議委員の吉川洋氏は、銀行の信用仲介機能が低下していることを認めました。いまこの信用仲介機能の低下こそが問題となっています。

 本シリーズでは、同友会の調査や金融機関の担当者、識者の話を聞く中で、不良債権処理が中小企業に与える影響を追い、地域における金融機関の役割を考えてきました。(以下( )内は掲載日)。

中小企業の評価力失った都市銀行

 不良債権処理を急ぎ、中小企業への貸出を増やすために「公的資金」は投入されたものの、長期にわたる不況で企業は活力を失い、処理し続けても不良債権は増えつづけ、ペイオフ解禁を前後して不良債権処理が加速化され、中小企業への貸出が厳しくなってきています。

 グローバルスタンダードを求められ、国際的投機取引を行うために、次々グループ化し、巨大化していく都市銀行。その取材の中で、金融庁の検査マニュアルの「中小・零細企業については技術力や成長性を総合的に勘案する」という部分は、弾力的な運用がされる基盤すら失いつつあります。(11月25日、1月5日)

 次々と閉鎖される支店、行員数の大幅な削減、融資担当窓口を集約し、融資担当者1人当たりの企業数がひどいところでは700社と、中小企業に直接足を運ぶ余裕はなく、技術力や成長性を評価できるよう行員が育つ環境もないのが現状です。

 結果、企業の格付けも決算書で定量的に割り出し、「3000万以下の取引先はゴミ」で、早々に融資を引き揚げたいという本音が出てきます。

産業構造再編の加速化
天井見えない企業倒産件数

 そしてまた不良債権処理は、産業の系列のワンセット主義で来た各主要行間の取引先の急激な再編を促し、日本の産業構造を大企業中心に再編していく過程でもあることが明確になりました。(1月25日)

 その代表的な例が債権放棄企業である佐藤工業の破綻です。本社のある富山では同友会が影響調査。回答企業の43%が「破綻の影響あり」とする中、企業経営内容に問題はあるものの、最後まで支えようとしたメインバンクの地元北陸銀行に対し、「都市銀行(第一勧銀)と政府とで会社更生法の決定をしたのは問題」「どのゼネコンを残すかが銀行間で決められているのは怖いこと」などの指摘が見られました。

 企業倒産はこの1年間でオイルショック後の過去最高を更新する勢いで増え、「不良債権処理は企業整理」であることが明確になっており、これから先の不良債権処理で「倒産件数は天井が見えない状況」であると、帝国データバンク情報部長の熊谷氏は述べています。(3月25日)

期待かかる地銀・信金

 昨年末、第2地銀の福島銀行が早期是正措置発動を受けた後、地元中小企業などからの支援で第三者割当増資の目標額・150億円を達成。「地方では金融機関といえば郵便局しかない町村もある。福島銀行(福銀)の県内の融資の98%が、中小・零細企業向け。そういった銀行が風評でつぶされてはかなわない。福島経済はだめになってしまう」との福島同友会理事長の安宅勝美氏の言葉は、地域金融機関の役割を明確に示しています。(2月15日)

 「金融機関の財務体質の強化が強調されると、その裏返しとして融資の選別圧力につながりかねない」と言う伊達信金の楽木理事長(3月5日)。「要注意先の中でも金利減免や条件変更のある要管理先は3倍の引当を積まねばならず、自己資本比率を下げないために貸出はお断りすることになる。しかし、これでは信金の社会的使命は果たせない」と小野澤日興信金理事長は話しています。(2月25日)

 中小企業への融資を積極的に展開し、地域経済の活性化をともに担おうとする地銀・信金からすれば、都市銀行も地域金融機関も一律に査定する検査マニュアルへ疑問の声が続出するのは当然のことです。

 地域金融機関の経営の健全性の指標は何か、東京都信用金庫協会では信金らしい健全性の尺度として、地域主義の確立や公共性・信頼性を高めるなどの観点から、独自の指標を打ち出しています。(2月25日)

依然進む金融機関の再編

 3月の中部銀行の破綻で収束したかに見える金融機関の再編。しかし、ペイオフ解禁後、風評で預金量の流出が容易に起きる可能性を秘めているため、弱小金融機関の再編は今後も続くと見られます。

 IT投資に傾注する大手行のなかで、地道なシステム再編を渋り、祝いの門出に迎えた「みずほ」の決済システム異常は、自ら信用を失う事態を招きました。

 京都では北部5信金が11月に対等合併するという話が進んでおり、京都同友会がペイオフを前後して行った調査では「すでに担当者が削減されている」という声や、新規融資、店舗の廃止にかかわる不安が出ています。また、2年前2信金が破綻し、事業譲渡される中、現在RCC送りになった企業の問題が顕在化し、京都弁護士会が調査を続けています。

 石川銀行の破綻直前に増資に応じ、それも債務として抱えこまなければならなくなった企業など、破綻銀行にまつわる中小企業の痛みの話は枚挙にいとまがありません。

金融アセスメント法で地域金融機関を守る

 国内では「オーバーバンキング」論が金融再編の後押しをする中で、アメリカでは預金量10億ドル以下のコミュニティ銀行が95%を占め、活躍しています。小規模だからこそできるこまやかな地域サービス。その生命線は地元での中小企業融資です。政策的にも重視されており、CRA(地域再投資法)を支える要となっています。(2月5日、3月15日)

 「銀行は国民に奉仕し、預金者保護、信用秩序を守り、適切な資金を配分して地域の中小企業、商店などと密接な関係を保ってこそ信頼が得られるもの」と、今宮謙二中央大学名誉教授は言います。

 不良債権処理で金融機関再編を促進し、経営の健全性の指標でのみ金融機関を査定することは、不況に苦しむ中小企業への貸し渋りを促進し、多くの企業を整理淘汰していく過程で、痛みを伴うだけでなく、将来の企業の育成、ひいては地域経済の発展に大きな禍根を残すことになります。

 金融機関の健全性を測るものは、金融検査マニュアルによる指導だけでなく、情報を全面的に開示させて地域への貢献度などを第三者機関で査定する「金融アセスメント法」(中同協が提唱)の「基本理念」であることが、ますます鮮明になってきています。

(完)

本シリーズ担当 中同協事務局 平田美穂

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