調査・研究

過年は低空飛行なれど、新年は波乱含みか
DOR127号(2018年10〜12月期景況調査)速報

低空飛行ながら落ち着きのあった2018年、2019年は波乱ぶくみの展開

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は5→7、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は5→7、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△2→0、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は8→12と、すべて「好転」「増加」である。今年は低空飛行ながら、例えば業況判断DIでは、3→4→5→7と落ち着きのある展開であった。しかし、2019年は政トランプ大統領の保護主義政策や政権運営の不備により、米中貿易戦争・日米貿易協議・自動車関税引き上げなど、先行きは楽観できない。波乱含みの展開になるであろう。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が9→3、製造業が6→8、流通・商業が1→5、サービス業が11→12と、建設業以外が好転した。地域経済圏別では、北海道・東北が△14→△1、関東が9→8、北陸・中部が13→1、近畿が17→24、中国・四国が4→4、九州・沖縄が5→8と、近畿のみが二桁のプラスであった。企業規模別では、20人未満で1→3、20人以上50人未満で6→8、50人以上100人未満で16→5、100人以上で9→24と、すべてプラス圏で50人以上100人未満以外「好転」である。
 次期(2019年1〜3月期)以降は、業況判断DIが7→6、売上高DIが7→9、経常利益DIが0→4、業況水準DIが12→6と、「好転」「悪化」が入り交じり、どちらとも言えないが、トランプの懸念材料の顕在化が表れてくることを考えに入れなければいけない。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が3→15、製造業が8→4、流通・商業が5→3、サービス業が12→8と、建設業以外では、悪化予想である。

新たな市場・仕事を作り出すことに挑戦し続ける

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が40→45で上昇し、特に製造業の53→57が目立つ。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も11→15と上昇したが、仕入単価DI−売上・客単価DIの差は29→29となり、横ばいである。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の安易化傾向は変わらず、資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は11→9と減少。臨時・パート・アルバイト数DIは3→9と増加した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△7→△4と減少割合が低下。また、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△47→△48と高止まり感が出ている。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△18→△21と若干不足感が強まった。
 経営上の問題点では「従業員の不足」が42%→42%と、6期連続で1位となった。また、「人件費の増大」が30%→33%と2位につき、「仕入単価の上昇」が27%→28%で2期連続3位に上がったのが目に付く。特に製造業では、「人件費の増大」が32%→35%に上がってきたのが目に留まる。
 経営上の力点では、「人材確保」(45%)が「社員教育」(45%)と並んだ。会員からは、「1〜2年後の社会を見越し、新たな市場・仕事を作り出すことに挑戦し続けている。『新しい事業ドメインの開拓』とそれに伴う『新製品の研究開発』を試みている(東京、産業用機械の開発販売)」の声も。成功の成否は「社員教育」が鍵となる。

日米貿易協議、英国のEU離脱問題、米中貿易摩擦など世界経済に大きく左右される

 西日本豪雨や北海道の地震など自然災害からの復旧需要もあり、日銀短観は「大企業・製造業」がプラス19の横ばいで、3四半期続いていた景況感の悪化に歯止めがかかった。ただ、3カ月後の先行きの景況感は、大企業、中小企業とも製造業、非製造業の幅広い業種で悪化を見込む企業が増えている。
 年明け以降、自動車分野などで厳しい交渉が予想される日米の貿易協議も控えており、国内経済は楽観できない状況が続きそうだ。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題など高まる海外経済のリスクも企業心理を冷え込ませる。景気は米中貿易摩擦など世界経済に大きく左右されそうだ。

(2019年1月4日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2019年1月31日発行のDOR127号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2018年12月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,393社より896社の回答をえた(回答率37.4%)
   (建設154社、製造業288社、流通・商業278社、サービス業169社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員41.82人
       臨時・パート・アルバイトの数32.57人

PDF資料はこちら(PDF700KB)

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