中小企業憲章と私

「人類の幸せ」めざす社会のあり方

香川同友会副代表理事 上野 準一氏
((株)エースシステム常務取締役)


 私たち中小企業経営者は「うちの会社がもっとよい会社に」と願って日々奮闘しています。そこで自問するのは、「よい会社とはどのような会社?」。

 社員が喜びと誇りを持てる会社、社会に貢献できる会社、売上をのばし利益を上げる会社など、思いはたくさんあります。その次の自問「よい会社はなんのためにあるの?」。私はその答えを「人類の幸せ」のためと考えています。

 中小企業憲章は「人類の幸せ」を実現するための社会のあり方、とりわけ中小企業の役割を具体的に明確に示しています。中同協では、中小企業憲章のめざすものとして17項目(*注)の願いにまとめていますが、この願いは中小企業家の役割の宣言です。私たち一人ひとりが、それぞれに担う分野でこの17項目をよく理解し、会社をよくすること、また生活していくことが大切ではないかと思います。

 今までのように画一商品の大量生産大量消費の時代から脱却して、一人ひとりの個性が大切にされ、一人ひとりのメニューで生きていく「個の時代」になってきました。そこには多様な要求があり、多様な仕事が生まれ、いよいよ中小企業の出番というところです。

 中小企業基本法では「多様な事業の分野、多様な就業の機会を提供、個人の能力を発揮する機会の提供、我が国経済の基盤を形成、新たな産業を創出し、就業の機会を増大させ…」と認識し、「地域における経済の活性化、我が国経済の活力の維持及び強化に重要な使命を有する」と規定しています。

 また、「中小企業白書」でも「新しいビジネスを生み出し、新しいライフスタイルを生み出す中小企業、技術革新を主導し、経済の発展をもたらす中小企業」としており、国をはじめ世の中全般に中小企業の大切さやその役割が認識されてきています。

 私たち中小企業経営者は、自社で働く人たちが「自分たちこそ社会の主役である」との自信と誇りを持てるような会社にする、社会的使命があると思います。そして、その使命を社員や地域の人たちと共有することで、「人類の幸せ」を実現する社会にすることができると思います。

(注)「中小企業憲章のめざす17項目」とは、2005年6月に中同協が発表した「『中小企業憲章』学習運動推進のために」の「[2]、憲章に盛り込まれる内容―私たちの願い」にまとめられた17項目のこと。
全文は、こちらをご覧下さい。 >> 「中小企業憲章のめざす17項目」全文

「中小企業家しんぶん」 2006年 4月 15日号から

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