学習資料(中小企業憲章)

Q4 中同協は2003年7月の第35回定時総会において中小企業憲章(以下、憲章と略)と中小企業振興基本条例の制定に取り組むことを活動方針に掲げました。なぜ同友会が中小企業憲章を提唱したのでしょうか

 その根拠は、同友会運動の広がりの中から憲章の必要性が認識されてきたことにあります。
 第1に、「中小企業は軽んじられる存在ではない」という思いです。同友会運動に取り組む会員の中で、「中小企業は軽んじられる存在ではない」という思いと中小企業家として生きることの誇りが覚醒され、日本の経済社会に中小企業が中心的役割を果たす構想とビジョンが必要であるという自覚が高まったことです。
 第2に、立法運動に取り組んだ経験が生きたことです。金融アセスメント法という立法運動に取り組む中で、同友会の政策活動の経験も豊かになり、単に中小企業対策的な政策の枠組みにとどまらず、全体的視点に立った総合的な政策展開の視野から憲章の必要性の認識が広がってきたことです。
 第3に、企業づくりと経営環境改善運動が両輪になって認識できたことです。同友会は経営指針づくりや社員教育活動など企業体質改善運動と経営環境改善運動とを車の両輪として進めてきましたが、その総合的な取り組みの発展のなかで、めざすべき中小企業像や日本経済のあり方など憲章の目標となる内容が明らかになってきたからです。
 第4に、会員企業の実践が地域や生活を支える中小企業を示し、憲章の内容を示していることです。同友会会員企業で取り組まれている新しい仕事づくりや地域づくりが、国民生活の安定や発展の活路を展望する憲章の内容を実践で示してきていることです。新たな地域ビジネスモデルや政策モデルが同友会の中からも育ちつつあり、憲章が抽象的な文言でなく、実践的な裏付けの中から構想できる条件が生れつつあります。
 第5に、国民の中小企業に対する認識を変えたいと思ったことです。同友会の共同求人やインターンシップ活動などを通して、大学・高校の先生や学生の中小企業に対する正確な見方と信頼を確かなものにすることの重要性を私たちは痛感しました。中小企業に対する正しい認識を育む教育政策などを推進するためにも、憲章という形で国が中小企業・自営業に対する基本認識を示し、諸政策と国民の認識の転換を促す流れをつくることが必要です。
 第6に、EUの欧州小企業憲章が刺激になりました。EUが2000年に欧州小企業憲章を制定している情報に接し、「小企業はヨーロッパ経済の背骨である。小企業は雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイディアを産み育てる大地である」という憲章の内容の学習に会内で着手する中で、日本でも独自の憲章を制定して日本経済の新しい発展をめざすべきであるという認識が会内で広がりました。

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