学習資料(中小企業憲章)

Q3 中小企業憲章と現行の中小企業基本法との関係はどのように考えればよいのでしょうか。中小企業基本法の改正で目的を達せられないのですか。

 中小企業基本法(以下基本法)の改正でなく、中小企業憲章の制定でなければならない理由として、次の5点が考えられます。

 第1は、中小企業にかかわる重要な要素が基本法に欠落しています。例えば、中小企業の現状分析・認識や税制、教育(人材育成)、環境問題、女性の社会進出、障害者雇用、国際交流など重要な項目が基本法には含まれておりません。これらのことは、法律的には別の法律で対応しているといえるでしょうが、中小企業が社会とトータルにかかわる現状からすれば、1つの公式文書に体系的に具体的に示すことの方が基本法を生かす上でも効果があります。

 第2には、憲章制定と併行して、中小企業庁設置法や国家行政組織法等を改正し、中小企業庁を経済産業省の外局から内閣府の外局に移して中小企業担当大臣を置くことを中同協は提起しています。これは、基本法の枠を大きく超える内容です。

 第3には、日本の経済社会で果たす中小企業の存在意義と社会的役割を中小企業で働く人たちが自ら自覚し、誇りをもって社会に発信して行動する立法運動をめざしていることです。これは、基本法で示された政策方向を受容する中小企業というよりも、自らの活路を国民とともに切り拓く主体的意志を鮮明にした運動として、憲章の制定をめざすということです。

 第4には、憲章が基本法のように中小企業分野だけに収斂(しゅうれん)されるのではなく、国家の基本戦略に中小企業を位置づけ、国民的な理解・認識を得ようという狙いがあることです。国民や国家・地域のために中小企業が何をできるかを意思表明し、国民各層との協働を呼びかける意義があります。

 第5には、憲章を基本法に基づく中小企業政策の内容の評価基準を設定するもの、あるいは基本法の導き手となるもの、と位置づけることができるということです。

 従って、憲章は現行の基本法を包含し、基本法の機能を12分に発揮させる役割を果たすといえます。

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