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中小企業憲章草案(第2次案・会内討議資料)

中小企業家同友会全国協議会(中同協)
中小企業憲章制定運動推進本部

前文

私たち日本国民は、国民一人ひとりを大切にする豊かな国づくりのために、日本の経済・社会・文化及び国民生活における中小企業の役割を高く評価し、ここに中小企業憲章を制定する。

私たち日本国民は、中小企業を次のように認識し、期待する。

中小企業は、日本経済の根幹である。

中小企業は、暮らしに根ざす仕事を生み出し、雇用の主要な担い手として、地域、社会、文化の力強い発展に貢献する。

中小企業は、先人の知恵に学び、互いに結び励ましあい、競い高めあい、人を育て、国民や地域の期待にこたえる。

中小企業は、日本経済の健全な発展、人類と地球の持続可能な未来に貢献し、国民の平和で安定した暮らしを実現する。

世界の国々は中小企業の活躍を積極的に支援している。日本の中小企業は、その歴史と経験をふまえ、世界の中小企業との連携を強める。

中小企業への影響を第一に考慮した総合的な政策を実行するとき、国民生活を豊かにする日本経済の新しい発展がはじまる。

そのために私たちは、以下の十項目の指針を国民の総意として宣言し、政府は国民の協力を得て実行しなければならない。

指針

(1)多様な産業を基礎とする日本経済を築く

多様な産業を基礎とする日本経済は国民の安定した暮らしに根ざす経済である。中小企業は、時代を貫いて、自ら律し、自ら生きる能力と活力を培ってきた。中小企業はすべての地域のどんな小さな必要をも市場として創造し、新たな日本経済に転換しなければならない。

(2)中小企業の声を聴く

中小企業が社会的に発言する機会をひろげる。政府・自治体は政策決定・行政を進めるに当たって、広く国民や中小企業の声を聴き、中小企業への影響を第一に考慮する。政府は、総合的に政策を進めるために中小企業省を設置する。

(3)公正な競争を確保する

政府は、公正な競争環境を確保する。大企業は、大規模な事業体としての役割と社会的責任を果たす。また、事業・金融の協同組織や新しい事業体は中小企業との協働をすすめる。

(4)地域経済を振興し、雇用を確保する

中小企業が地域の資源活用、雇用、納税、地域づくりなどをとおして地域社会とのきずなを強め、地域経済振興に貢献することを支持する。そのために、地方自治体が中小企業振興基本条例等の制定・見直しをすすめ、地域経済を活性化することに期待し、奨励する。また、中小企業が農林水産業と連携して自らの知恵と技術を活用し、食料自給率の改善に貢献することを支援する。

(5)円滑な金融、公正な税制、適正な財政を築く

金融は産業育成と円滑な資金供給という本来の役割を取り戻し、政府は円滑な金融の責任を担う。公正な税制を設計し、適正な財政を実施する。その際、小規模企業や自営業者を特別に配慮する。

(6)持続可能な社会をめざす

中小企業は、自らの事業活動を通じて地球環境の保全に貢献し、持続可能な社会をめざすとともに、安心と安全を要請する社会の期待にこたえる。政府・自治体はその取り組みを支援する。

(7)誰もが共に暮らし、挑戦ができる社会をつくる

中小企業が女性の雇用と登用をはかることを支援する。また、障害者の自立した生活の基礎となる雇用を生み出し、高齢者や外国人を問わず、誰もが共に暮らせる共生社会をつくる中小企業の努力を支援する。さらに、企業家になることを支援し、失敗しても再挑戦ができる社会をつくる。

(8)仕事の誇りと向上の喜びをもつことができる環境を構築する

中小企業は人が育つ場である。中小企業に働く人々が仕事の誇りと向上の喜びをもつことができる職場をめざし、責任と勤労が報われるような社会環境を構築する。また、その前提となる,医療、福祉、教育、労働のための総合的な政策を充実し、安心して育児と介護ができる環境を整備する。

(9)企業家精神を学び、創業への関心をよびおこす

学校・社会・家庭の教育において中小企業の存在意義や企業家精神を学ぶ機会を増やし、創業への関心をよびおこす。そして、中小企業が基礎的な経営知識や技術・技能を修得し、先進的な科学技術を生かした製品・サービスの開発に取り組むことを支援し、積極的に経営に活用できる環境を整備する。

(10)伝統と文化を大切にし、国際交流を深める

中小企業が歴史ある諸産業における伝統的な技術・技能を継承し、国民と地域の文化を守り育てることを支援する。貿易・投資・雇用などを通して国際交流を深め、固有の文化を尊重しあい、互いの経済の平和で安定的な発展に貢献し、アジアをはじめ世界との共生に努力する。

以上

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