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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2023年 8月 5日号

▼日本は世界有数の老舗大国です。帝国データバンクの調査によると100年以上続いている企業は4万社を突破しており、同友会の仲間も散見されるのは誇らしい気がします

▼1899年に創業したA社もそのうちの1社。北海道に初めて化学肥料を持ち込んだ商社です。当時の北海道はまだ焼畑農業で、地力が衰えると次の開拓地へ移る略奪農業でした。同社は化学肥料や種子の消毒、トラクターの導入などで北海道農業の発展を支えた企業の1つと言えます

▼日中戦争から太平洋戦争へと突き進むなか肥料統制が始まり、同業者は廃業、同社の従業員も次々と応召され、開店休業を余儀なくされます。戦後も統制経済は続き、肥料の統制が撤廃されるのは終戦から5年後でした。120年を超える歴史の中で「一番苦しかったのはそのころではないか」当時の5代目社長が語った言葉を思い出します

▼統制経済は官僚統制とボス支配という弊害を招き、戦後復興期も傾斜生産方式により、中小企業は電力や資材、融資も後回しにされました。同友会の先達が希求した「自主、民主、連帯」の精神は、中小企業とそこで働く人間、地域社会にとっても活力を発揮するための前提条件です。

「中小企業家しんぶん」 8月 5日号より


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