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【08.08.04】日本型中小企業憲章の骨格を探る〜欧州視察から学んだ教訓

 7月10〜11日、中同協第40回定時総会が埼玉県さいたま市で開かれ、全体会と18の分科会で総会議案を深めました。
 第5分科会は、大橋正義氏((株)大橋製作所社長、中同協政策委員長)が座長を務め、ヨーロッパ視察に参加した4名の報告者が手際よく報告、三井逸友氏(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授)がコメント・助言しました。

すべての子どもに平等な教育機会が

 まず、赤津加奈美氏(弁護士法人赤津法律事務所代表社員、大阪同友会中小企業憲章推進本部委員)が、フィンランド国家教育委員会での視察内容を報告。「すべての子どもに平等に教育の機会を与える」という教育理念、教育費の無償等を実現し、世界最高の教育水準を達成していることなどが報告されました。

個性あふれる地域の形成

 次に、木下光一氏((株)地域科学研究所社長、大分同友会代表理事)は、ヨーロッパが、個性的地域を形成し、平等・共存・雇用・人権など強い社会性が発揮されていること。先進的な環境問題への取り組みは日本でも中小企業憲章の大きな柱になることなどを報告。

同友会理念の具現化としての憲章・振興条例

 報告3人目は、水戸部良三氏(水戸部(株)社長、東京同友会副代表理事)。“Think Small First” (小企業を第1に考えること)のポスターがEU庁舎内に飾ってあったが、中小企業は大企業のために存在しているのではないという意味で、この考え方こそが重要であると報告。中小企業憲章・振興条例の取り組みは同友会理念の具現化、具体化であるとしました。

新たな発見の旅

 杉村征郎氏(杉村精工(株)会長、静岡同友会筆頭代表理事・中同協中小企業憲章制定運動推進本部副本部長)は、ヨーロッパ小企業憲章はEUという人類史上の壮大な実験の中で中小企業・小企業を最重視する国家戦略と位置づけていることを改めて認識したこと。

 また、「自主・民主・連帯」などの同友会理念とEU基本理念の共通性など、同友会理念の普遍性を確認できたことも発見であったとしました。

憲章の意義と効果を確認

 助言者の三井氏は、今回の視察では、中小企業関係者からヨーロッパ小企業憲章の意義と効果などを確認できたことが収穫であったとコメント。

 特に、SBA(欧州小企業議定書)案が発表され、さらに具体的な“Think Small First”の取り組みが進められていることを紹介。たとえば中小企業政策という狭い分野だけでなく、ヨーロッパの環境政策なども、中小企業の立場を反映しないと経済社会の健全な発展がないという認識にあると指摘しました。

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