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【10.10.15】独創的で全国民的な運動へ〜(株)大橋製作所 社長 大橋 正義氏(東京)

【中小企業憲章を生かす―企業・地域へ】1

「中小企業憲章」が2010年年6月に閣議決定されました。この憲章をいかに地域の中で生かし、実践していくかについて、一人ひとりの思いを紹介する「中小企業憲章を生かす、企業・地域へ」の新連載を今号よりスタートします。ご期待下さい。

 同友会が長期的に取り組んできた中小企業憲章が、国の政治方針として制定されました。中小企業憲章の中心課題は、日本経済の構造的問題を解決し抜本的に立て直すことです。地域経済の崩壊、内需の縮小、雇用問題など国民や中小企業をめぐる問題の多くは、日本経済の構造的問題から出てくるものです。

 同友会は、同友会理念に立って中小企業家の自主的な参加と運動による「個」の能力を生かす、「組織」の力を絶え間なく創造的に発展させながら壮大な課題に挑戦し、答えを導き出す稀有な中小企業団体です。

 中小企業家同友会は、いち早く日本における中小企業憲章の必要性を提唱、憲章・条例制定運動に取り組み、中小企業憲章草案を作成し日本経済の将来像を示しました。私たちの長年の地道な運動とその結晶である、中小企業憲章草案の理念や基本政策目標が反映された中小企業憲章が閣議決定されました。

 これは画期的な意義のあるものです。国の中小企業政策の基本方針となったのです。全ての中小企業団体が、共に行動できる積極的な条件が広がったということです。また中小企業憲章を旗印にして、中小企業の果たしている役割や中小企業問題を、正面から国民的な議論をすることができます。

 私が中小企業庁「中小企業の会計に関する研究会」の委員として、および憲章制定のために設置された「中小企業憲章に関する研究会」から感じたことは、各中小企業団体に加盟している中小企業が置かれている危機的状況・政策課題は、ほぼ共通しており、それぞれの団体のことだけを考えていては、今日の深刻な問題は解決できないという認識に達していることです。 また、各中小企業団体が、協力して中小企業の致命的問題を解決しようという強い意思をもっていると感じました。それだけ中小企業経営の存亡の危機が鋭く進行しているということです。

 「中小企業の会計に関する研究会」では、国際会計基準の方向に沿って検討すべきという意見もある中で、日本商工会議所、同友会をはじめ中小企業7団体による「中小企業の実態に即した会計基準の策定に関する意見書」が策定され、提出されました。協同して重要課題を指摘し、解決する政策と方向性を示しました。

 その結果、研究会の中間報告では、今までとちがって、今後、中小企業の会計基準の策定主体は、当事者である中小企業関係者などが中心となり、中小企業の実態に即した会計基準を取りまとめ(中小企業憲章の行動指針にも明記)、関係省庁(中小企業庁など)が事務局的役割を果たしていく方向となりました。

 今後、多彩な人材が必要になってくるでしょう。各地の独創的な取り組みから学び、経験を交流し、未知の専門的な課題についても専門家から学びつつ、さらに各地で新しい独創的な運動を創案し、全国民的な運動へ前進させる一端を担いたいと思います。

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