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【10.11.12】【中小企業振興条例をどう活かすか】(2) 中小企業が輝く地域づくりは条例づくりから〜釧路支部、根室支部、南しれとこ支部の取り組み【北海道】

 北海道同友会では「全ての自治体に中小企業振興基本条例を」を合言葉に制定運動を展開しています。中でも東北海道に位置する釧路支部、根室支部、南しれとこ支部では13市町村中、3市町(釧路市・別海町・中標津町)が制定し、3市町(厚岸町・弟子屈町・根室市)で来年度の施行に向けて運動中です。

3支部を合わせた会員数は670社、組織率は14%に上り、それぞれの自治体で地域の実情に即した経済施策が練られています。

地域の特色を知り、強みを伸ばす

 中同協の中小企業憲章制定運動に並行して、釧路支部は2004年から「釧路市中小企業基本条例」の制定運動を展開し、商工会議所と合同で勉強会を開くなど、積極的な働きかけを市役所に対して行ってきました。そうした運動が奏功し、2009年4月1日に釧路市で条例が施行されました。

 施行と同時に釧路支部は、市役所と連携して「地域経済推進力研究事業」を展開、「中小企業円卓会議」「市民協働円卓会議」へも積極的に参加し、具体的な地域経済振興策を検討、提言する仕組みづくりに主体的な役割を担いました。

 「地域経済推進力研究事業」では、釧路公立大学と共同で地域経済の分析活動を行い、地域の「弱み」を無くし、「強み」を伸ばすための提言を行っています。

 中小企業円卓会議では、中小企業経営者の立場からの地域経済振興への意見、提言を議論し、市民協働円卓会議では市役所、企業といった垣根を越えた立場でさまざまな市民が地域の経済政策に対する議論が展開されています。

 こうした分析、議論の中から明らかになってきた釧路市の課題は、「起業意欲が低く、新規創業が少ない」というものでした。そこで釧路支部は、起業支援で数多くの実績を持ち、全国的にも評価の高い小出宗昭氏(富士市産業支援センターf−Bizセンター長)を招き、新規参入をテーマとした講演会を企画、その後、定期的に釧路へ招いて相談会、講演会を行っています。

条例制定運動の広がり

釧路支部 釧路市の翌年に制定運動が始まった中標津町では、2010年4月1日に条例が施行され、具体策を検討するワーキング会議を毎月開催し、地域経済に必要な要素と、今ある資源の活用についての議論が活発に行われています。

 同じ南しれとこ支部で2009年に条例が施行された別海町では、全国的にも注目を集めている、民間発の医療サポート組織「医良(いい)同友」が組織されています。これは地域経済を支える中小企業、そこで働く地元住民の健康を守るため、地域医療を支援するという目的の下で運営され、条例の精神に則ったものです。

 さらに、2011年4月1日施行がほぼ確実になっている厚岸町、弟子屈町でも、地域経済の姿を学び、地域の特徴に合致した振興策を推進していくための勉強会が同友会のメンバーを中心に始められています。

 このように釧根3支部では活発な制定運動と平行した、1日も早い具体的な地域経済振興策の実施のため、日々会員が学びあいを深めています。

 中小企業憲章が閣議決定された今、ますます条例を活用した政策提言が東北海道の同友会に求められています。

(文責 北海道同友会釧根事務所 栗谷秀実)

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