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【10.11.24】地域への思い入れこそ鍵 中同協相談役幹事 赤石 義博(あかいし脳神経外科クリニック会長)

【中小企業憲章を生かす―企業・地域へ】2

 中小企業憲章をいかに地域の中で生かし、実践していくかについて、一人ひとりの思いを紹介する「中小企業憲章を生かす、企業・地域へ」の第2回。今回は赤石義博・中同協相談役幹事に執筆していただきました。

 中小企業憲章の制定がなぜ必要か、どう生かしていくのかなどの私見については、拙著『幸せの見える社会づくり』や、その他の著作・レポートなどで繰り返し述べてきていますので本欄ではトピック的な観点から述べることにします。

 戦後、わずか10年後の昭和30年の経済白書は「もはや戦後ではない」と日本経済奇跡の回復を豪語します。外貨のない日本の基幹産業が原料を輸入できたのは、先行して中小企業が雑貨類の輸出でドルを稼いでいたからだと言われています。

 この雑貨類の生産技術はどこにあったのでしょうか。このスペースでは述べきれませんが、恐らくその大部分は、明治の廃藩置県前、304藩の殿様が自藩の財政健全化のために地域産業の保護育成に務めていた遺産が根っこだろうと思います。

 明治政府の輸入重化学工業や軍需産業育成へのあまりの偏りに、政府部内からさえ在来工業軽視の批判があがっていました。80年後にその根っこが国難を救ったという見方もできます。

 47都道府県でも多すぎる、道州制だと騒がしい現在ですが、304県の方がよりきめ細かい地域産業育成ができるのではないか。要は地域への思い入れこそ鍵で、誰のために、何のためかを明確にすることだと示唆しているかに思われます。

 それはさておき、このきめ細かさとは何かを明確にすることが大切です。国の基本戦略はもちろん、県レベルでパラレルに推進されるべき産業政策と中小企業政策両方について、視点と課題と執行の手順が具体的であるかどうかです。

 地産地消など既往の地域振興政策だけでは仕事が不足です。今後の課題の1つは、ずばり東アジア共同体市場で独自商品として尊重される製品の育成が選ばれるべきでしょう。

 中小企業憲章の精神を学ぶ輪を広げ、地域のくらしを豊かに創り上げるのは、地域に暮らす市民自身の見識と努力次第と自覚する人々が増えるよう、地域中小企業振興基本条例を活かした具体的活動に参加する人々が増えるよう努力して参りたいと願っています。

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