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【10.12.15】【中小企業振興条例をどう活かすか】(3) 企業家、市民による産業振興会議が政策提言 地域産業の栄える にぎわいのあるまちづくり 【大阪・八尾支部】

条例制定して9年

 全国有数の中小企業集積の街・大阪府八尾市に、「地域産業の栄えるにぎわいのあるまちづくり」を目標に「八尾市中小企業地域経済振興基本条例」が 2001年に施行されて9年。条例制定を受け、翌2002年には市内中小製造業のさまざまな課題をサポートする総合窓口として中小企業サポートセンターが設置されました。ビジネスマッチングやものづくり受注相談会、八尾ブランド化推進事業、異業種交流グループ等の研究開発への助成制度など、さまざまな施策が行われています。

 条例制定を提言した産業振興会議(1998年発足)には大阪同友会八尾支部をはじめ商工業者や市民が幅広く参加し、条例制定後も引き続き八尾のまちづくりの要となって、産業振興政策の提言などを行ってきました。来年、条例施行10年を迎えるにあたって、第5期市総合計画に伴い条例が改正されることになり、改正作業が産業振興会議の検討部会を中心に進められています。

条例改正に向け7団体と行政でシンポジウム

 11月19日、「住みたいまち、暮らしやすいまち、事業を続けたい街、八尾市!」をテーマに開かれた「第13回八尾シンポジウム」では、この9年間の成果と課題を確認し、さらなる八尾市の発展と地域経済の活性化に企業や市民がどのように関わっていくべきかを深めました。

 このシンポジウムは、八尾支部が1997年から毎年開いてきたものですが、今回は八尾市商店会連合会やNPO法人八尾市活き活き会議など八尾市にかかわる7団体で八尾シンポジウム実行委員会を立ち上げ、議論を交わしてきました。当日は、行政や産業界、市民など123名が参加しました。

 まず、藤原義春・大阪同友会八尾支部長が「今なぜ条例改正が必要なのか」を問題提起し、つづいて各団体の代表者7名と八尾市経済環境部産業政策課理事の吉川慎一郎氏によるパネルディスカッションが行われました。

 問題提起で藤原氏は、「条例について知っている人が行政の中でも少なくなってきている。当時と地域環境が激変する中で、改めて理念条例にふさわしい目的を明確化するとともに、実効ある条例とすること。市民、中小企業、行政、そして大企業の役割を明確化しながら、市民、中小企業、行政が立場を超えてまちづくりを進めていくために何が必要か、一緒に考えていこう」と述べました。

 各団体が、(1)活動の趣旨と問題点について、(2)条例の活用事例、(3)改正に向けての要望、(4)今後の行政との関わり方について報告したあと、パネルディスカッション。そこでは、(1)これまでお互いに横軸の連携があまり行われていなかった、(2)市の施策が有効に活用されていない(PR 不足も含めて)、(3)少子高齢化・後継者問題、(4)産学農商工連携、(5)地場産業の活性化と地域資源の掘り起こし、(6)地域間格差の問題、(7) これからの商店街の在るべき姿など、地域の課題が浮かび上がってきました。

 行政の役割については、広報不足と条例の認識に差があるのでは、との意見もありましたが、「市の施策はあくまで企業の応援団であり、道先案内人。私たちも行政に頼り切るのではなく、自立的で質の高い企業・店舗づくりが重要である」ことが確認されました。

 初の共同開催でしたが、市民、中小企業、行政が一体となって八尾市のまちづくりを進めていくための信頼関係づくりに一歩を踏み出すとともに、中小企業家が地域の発展のために今何をすべきか、再確認できたシンポジウムとなりました。

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