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【11.04.01】摩周湖のふもとにできた中小企業基本条例【北海道・弟子屈町】

観光に頼らない地域経済振興は私たちの手で

 3月7日、東北海道の内陸に位置する弟子屈(てしかが)町で、中小企業基本条例が議会で可決され、4月1日に施行されることになりました。

 弟子屈町の経済は明治時代の安田財閥による硫黄採掘から始まりました。硫黄採掘が下火になると豊富な湯量を誇る一大温泉地として、近隣からの温泉客を迎えて経済を発展させてきました。

 しかし、観光偏重の地域経済施策は景気の動向に左右される運命を避けられません。大都市から飛行機で訪れ、1泊だけして帰っていく通過型の観光では地元中小企業が域外貨を獲得する余地は多くありません。長引く景気低迷で観光客数も減少。加えて近隣市町村での大型商業施設の進出が住民の足を地元企業から遠のかせます。

 「このままではいけない」。北海道同友会釧路支部摩周地区会が中心となって条例制定運動が始まりました。商工会、役場担当者と勉強会を開き、条文の検討を始めました。2010年6月には年度内可決を目指すことで合意、7月には町長へ要望書を提出し、最終的な詰めの段階へと進んで行きました。

 弟子屈町の条例の特徴は具体的な地域経済振興策を検討する部会と、施策を承認し予算化を決定する審議会が円滑に機能するように留意していることです。喫緊の課題である経済施策を瞬時に決定していくために議論が重ねられて決定した条例です。

 釧路支部摩周地区会の竹森会長は「長年、町経済の大半を観光資源に頼ってきたツケが回ってきた。これからは観光資源を上手に活用しながらも、観光という基幹産業以外にも施策展開が行われなければならないのではないか。私たち一人ひとりが人、モノ、カネが地域の財産だという意識をしっかりと持つために条例を活用していきたい」と意欲を語ります。

北海道同友会釧根事務所 事務局 栗原 秀実

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