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【11.08.02】【憲章・条例ニュース】地域を良くするために、みんなで理念を共有してー阿賀野市産業経済振興条例制定から2年【新潟】

 新潟同友会下越南支部は、38名の小さな支部です。現在、50名の支部会員を目指し、活動しています。阿賀野市という人口約4万5000人の街が活動の中心です。2町2村合併した7年前と比べて2000人も人口減少しています。このような地域は全国に多いと思います。当然、人口減少は市の財政に直結します。市民全体に活気がなくなり、先行きに不安を感じ、誰もが消極的に「現状維持」を唱えていました。

 そのような状況でも、私たち中小企業経営者は、この地域から離れるわけにはいきません。そこで、3年前くらいから、同友会の下越南支部会員の有志、市や商工会の一部職員の皆さまと、現状を打破して、活気ある町づくりを目指そうと、自主的に参加し、阿賀野市の活性化を考える任意の協議会をつくりました。時間をつくっては何度も集まり、話し合いを重ねてきました。

 お互いに学ぶ中で、同友会3つの目的の3番目「よい経営環境をつくろう」には、「地域に深く関わり、行政と企業、そして市民が、連携・連帯していくこと」が重要と気付きました。そして協議をもとに要望書を市や議会に提案して、行動を共にしていきました。そのような経緯を経て、阿賀野市産業経済振興条例が09年3月に全会一致で制定することができました。

 他団体や行政と横のつながりもできたことは、下越南支部にとって、大きな財産となっています。今では、同友会が経営者団体として当てにされるようになり、さまざまな市の審議会などにも呼ばれ、少しずつではありますが、地域経済の活性化に貢献できるようになったと自負しています。

 事例として、地域の特産である安田瓦を1万枚使った「瓦ロード」の景観づくりや、中心地の商店街のアーケードの改善など、関わりを持つことができています。今年は、市では市民の生活環境の向上を推進するために掲げた経済対策事業(全体で2億3000万円)の中で、住宅リフォーム支援事業補助金制度が議会で制定され、6000万円の補助金が計上されました。その結果、約1カ月で約6億円の地元企業が施工する事業が成立しました。その後、地場産瓦の普及促進を図るため、新築、住宅リフォーム工事において地場産瓦を使用した場合、瓦代金の補助を行う助成事業も制定され、市民や企業に喜んでいただくことができました。

 また、商工会も連動して、プレミアム商品券(市の助成金3000万円)を発行するなど、より一層の地域活性化になったと感じています。市の活性化につながるとうれしく思っています。

 下越南支部が行政、商工会のほか、諸団体の皆さまとの連携・連帯で条例が制定されたわけですが、地域を良くするためには、みんなで理念を共有して、市が活性し、さらにこれを継続していくことが重要と感じました。 今後、もっともっと同友会会員の仲間を増やしていくことが必要だと思っています。この取組みを通し、いかに連携・連帯が必要か、気付かされました。

新潟同友会下越南支部長 加藤昭治

阿賀野市産業経済振興条例の前文

 阿賀野市は、自然豊かな五頭山系と阿賀野川の恵みによって、古くから農林業を基幹産業として栄えてきた。阿賀野市地域経済は、農林業をはじめとする中小企業者が地域経済を支えながら発展してきた。

 しかし、昭和30年代後半からの高度経済成長によって農村部から都市への労働力の流出や、国の輸出産業重視の経済政策によって、米を始めとした農畜産物の輸入自由化により農業は徐々に衰退し、結果として農地の荒廃や後継者不足が深刻な問題となっている。

 商工業もまた、経済の国際化や厳しい企業間競争、急速な少子高齢化や人口減少時代によって、極めて厳しい経営環境に置かれている。さらに地域消費力の大部分を占める労働者の雇用情勢も不安定なため、地域経済は疲弊し市民生活の安定向上と安全を守ることを使命とする行財政運営まで難しい状況にある。

 このようなことから、阿賀野市のすべての産業・関係機関団体・市民並びに行政がそれぞれの役割を以って協働し、経済の地域内循環(経済の地産地消)による産業振興と産業集積による活力のあるまちづくりを目指すため条例を制定する。

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