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【14.02.19】【中小企業憲章を生かす】30  条例と医良(いい)同友(どうゆう) 北海道同友会南しれとこ支部 別海地区会長 寺井 範男 (寺井建設(株) 代表取締役)

 地域医療は住民一体で守らねば! 熱い思いを胸に、南しれとこ支部別海地区会が立ち上げた医療支援組織「医良同友(いいどうゆう)」。2009年11月の発足から4年が経過しました。私の暮らす別海町ではこの組織を核に、医療に限らず、地域住民自らが考え、そして行動するひとつのカタチが大きく育っています。

 別海は人口1万6000人の1次産業の町です。この町で2009年4月、全国の町村では初の「中小企業振興基本条例」が制定・施行されました。制定にあたっては、同友会、町、商工会の3者で1年にわたる協議を重ねました。

 実はそれまで、町には「中小企業政策」の概念がほとんどありませんでした。基幹産業の農業、漁業、そして中小企業という3者が一体になることで、より強固な地域基盤づくりに取り組もうと、条例制定に至ったわけです。

 さて、条例が制定された年の夏、地域医療の要である、町立別海病院の小児科医が不在になるという話が持ち上がりました。町民の健康を守る医療体制の崩壊は人口減に直結し、町の産業の衰退につながります。従業員の健康を守る責任がある。中小企業経営者として見過ごすわけにはいきません。条例の前文にうたう「活気あふれる別海町を築くための中小企業の自助努力と町・事業者・経済団体・町民のパートナーシップによる中小企業振興」を実践するためにも、行政が頭を抱えているこの問題に、一石を投じようではないか。そこで誕生したのが、医良同友だったのです。

 「医師の診察を受ける地域住民が地域医療に関心を持ち、医療問題を一人ひとりが自分の事として捉える。解決策は自分たちの手で模索しよう」。そう考え、まずは医師とその家族が地域と住民に愛着を持って生活できるよう、ワカサギ釣りや交流会など、地域ぐるみのイベントに知恵を絞りました。

 即効薬とは言いません。模索はまだまだ続きます。しかし、これだけは言えます。企業経営への情熱と地域への熱い思いがあれば、町の未来は拓けます。

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