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【15.04.01】【憲章・条例を生かす】42 釧路市中小企業基本条例を生かす 北海道同友会 釧根3支部連携推進協議会 会長福井 克美((株)トーテック 代表取締役)

 私が中小企業憲章と出合ったのは2004年。東京で開催された研修会でした。個々の会員企業と憲章との関係をより明確にしなければならないと痛感した私は、憲章と同友会運動を連結させ地域活性を目指すべく、条例制定運動へと熱意を傾けたのです。

 まずは憲章の学習運動を起こし、釧路市と商工会議所も交えた意見交換も開始しました。2008年、商工会議所会頭と同友会釧路支部長の連名で釧路市長に条例制定の要望書を提出。その翌年、釧路市中小企業基本条例が制定されました。

 釧路市の条例は「産消協働」の理念を柱に、(1)域内循環(2)域外貨獲得(3)域内連携の3点を盛り込んだ内容となっています。

 条例制定後の活動のひとつとして、複数の円卓会議を開催してきました。そのうち、市民協働円卓会議では3つの優先項目を選びました。

 1つ目は条例の市民への周知活動です。ホームページの利用、セミナーの開催、マスコミの活用などで、広く市民に活動を知ってもらうことです。釧路市の担当者は、趣味の落語や漫画を活かして条例を紹介し、市のホームページからダウンロードできるようにしています。

 2つ目は地域経済の分析です。釧路公立大学と一緒に、地域の経済状況や企業の財務諸表の分析、経営状況の調査などを実施しています。

 3つ目は新規創業の促進です。地域起業サロン「k‐Biz」を開催し、センター長に小出宗昭氏(富士市産業支援センター長)を招き、年5回の新規創業や商品販売についての相談会を開催しています。

 このほか、中小企業円卓会議もあり、同友会政策委員会と釧路市、公立大学で構成し、継続して地域や経営環境の問題を話し合う場となっています。

 また、域外連携としては、条例の前文に記載されている北海道の名づけ親である松浦武四郎(三重生まれの幕末の探検家)を橋渡し役とした、三重県との連携も生まれました。三重県の食材を使ったカクテルやスイーツなどの商品も開発されました。

 条例制定運動で大切なのは、自治体や一般市民に同友会の知名度を上げることと会員増強です。同友会活動が盛んな支部ほど、会員組織率が高くなります。釧路支部は482社で13・3%です。会員数が増えれば自治体にも説得力が増します。自分たちが変わらないと国や自治体は変わりません。企業体質の強化があってこそ、活力ある地域は生まれます。

 今後も釧路市での条例制定運動の経験を生かし、活動の輪を広げていきます。

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