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【19.07.30】地元経済を創りなおす 憲章・条例推進月間大勉強会【福岡】

 福岡同友会は2011年から憲章条例推進月間の取り組みとして大勉強会を開催しています。当初は憲章への理解を深めるものでしたが、少子高齢化や人口減少社会という課題から地元に若者を残すことを運動方針として掲げ、活動を広げています。

 今年度は6月11日に大勉強会を開催し、行政や他団体などを含む76名が参加。講師として『地元経済を創りなおす―分析・診断・対策』(岩波新書)の著者である枝廣淳子氏(大学院大学至善館教授・幸せ経済社会研究所所長)を招きました。

 まず、枝廣氏は「未来は地域にしかない」と強く訴え、これからの国・企業・地域にとって「パリ協定」、「成長戦略」、「エネルギー政策」の3点がつながりあうことが重要と報告しました。

 次に、地球温暖化が及ぼす影響について日本では2090年代に洪水被害額が最大で3倍、年平均気温が3度から6度上昇、暑さが原因で死亡する人が2倍以上になるとの予測を紹介。その上で、「『パリ協定』の目標は『化石燃料との決別』と『省エネ+再エネ』を意味し、低炭素ではなく『脱炭素』をめざしている」と話し、世界での気候非常事態宣言などの活動、ニセコ町や神戸市、東京都での具体的な削減目標も紹介しました。

 人口減少による地域の課題について、「不安定・不確実な時代を生きていくために『レジリエンス(しなやかな強さ)』が必須です」と問題提起。柳や竹のように折れないまちづくりのために、(1)ぶれない芯となる地域の未来についての共有ビジョンと(2)外部に依存しすぎず、持続できる地域経済の2点の重要性を報告しました。

 さらに、持続できる地域経済のためには、「『漏れバケツ』の穴をふさいで『地域内』と『地域外』のバランスのとれた社会をつくること」を提起。「漏れバケツ」とは、地域内で循環するお金が地域外に流れている状態のことです。「漏れバケツ」の「見える化」をするために、(1)市町村の産業関連表、(2)LM3(地域内乗数効果)1396927554、(3)買い物調査が有効であると報告。事例として島根県海士町や北海道下川町、行政として調達先の規程をつくっているイギリスのマンチェスター市、神奈川県横浜市を紹介しました。

 最後に、枝廣氏は「地域経済を『見える化』してデータを活用することで地域経済を変えることができます。人・資源・お金の循環を変えることが持続可能で幸せな地域をつくる」と結んで講演が終わりました。

 折れないまちづくりにはぶれない芯となる企業での経営指針、地域での中小企業振興基本条例が大切であると実感でき、参加者それぞれの立場で「1つずつ、一歩ずつ進めて行く」ことを誓った勉強会となりました。

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