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【19.09.10】持続可能な地域づくりへ〜中小企業憲章制定9周年記念セミナー【北海道】

 中小企業憲章制定9周年セミナーが7月17日に札幌で開催され、131人が参加しました。下川町長の谷一之氏と佐藤工務店社長の佐藤聡氏(とかち支部地域政策委員長)が講演。SDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた第6期総合計画を推進する下川町、建設業を営みながら十勝産ラクレットチーズの生産・販売で地域の活性化に貢献する佐藤氏の取り組みなどから、持続可能な地域づくりについて理解を深めました。

 はじめに、谷氏は下川町では京都議定書をきっかけに環境やエネルギー政策に取り組み、特に森林資源を活用したバイオマスエネルギーに着目し、現在では公共施設の7割で熱供給を導入していることを紹介。将来的には老朽化によるボイラーの更新が控えているものの、地域を複数のエリアに分けてゾーニングし、ローテンションしながら整備を進めることで持続可能なエネルギー施策を進める考えを示しました。

 また、同町の中小企業振興基本条例に関する変遷を説明した上で、「随時見直しを図り、今後も時代の流れや企業のニーズに合わせた条例を作っていきたい」と語りました。

 4月からスタートした総合計画では「誰ひとり取り残されず、しなやかに強く、幸せに暮らせる持続可能なまち町」を将来像に7つの開発目標を設定したほか、役場内にSDGsパートナーシップセンターを設け、推進体制を整えたことも報告しました。

 SDGsを聞き慣れていない住民には「誰もが元気に幸せになる」と説明しているとし、「この意味あいを込め、掲げた目標をしっかりと形にしていきたい」と、地域や企業の活性化を図る施策の推進に意気込みを述べました。

 続いて、佐藤氏は自身が理事長を務める十勝品質事業協同組合を紹介。業種や企業の枠を越え、十勝の産業基幹の発展を目標にチーズの商品開発に取り組み、日本初の共同熟成庫を整備するといった歩みを紹介した上で、チーズ産業の拡大が酪農家の支援や十勝産食材のPRにつながることを語りました。

 佐藤氏の本業は建設業の社長ですが、「私はチーズは作れないが、チーズを売ることで十勝の観光、暮らしを伝えている」と説きます。人口減少が深刻化する中で、各企業がそれぞれの生産性向上などに取り組むのではなく、地域の活性化や地方創成に向けて努力すべきとし、「皆さんも地域のために何ができるかを考えてほしい」と参加者に問いかけました。

 また、人口減が進む一方で経済のベースは人口にあるとした上で「時代の変化や国策に翻弄されない地域づくりが重要」と強調。「ヒト・モノ・カネを集めて稼げる地域をつくる。それが明るく楽しく働き、安心して生涯をおくる住みたい町につながる」と呼び掛け、あらためて地域活性化の重要性を訴えました。

 講演後はグループごとに討論し、より学びを深めました。

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