(京都)特別アピール 2020年2月14日

 私たちは第1回中小企業問題全国研究集会(以下、全研)開催の地、ここ京都で「未来創造!『地域企業』としての自覚と実践を!」をメインテーマに、第50回の全研を開きました。

 中小企業家同友会全国協議会設立の翌年1970年に開かれた第1回全研は、「府民の暮らしを守る」ため、中小企業育成を柱とした商工行政を行う京都府商工行政に学ぶものとして実施されました。当時の蜷川虎三府知事は、あいさつで「官製ではなく民間の引き舟になれ」と同友会への期待を寄せています。

 世界はいま、グローバル化の急速な拡大による人権侵害や環境破壊などの矛盾が深刻化しています。そして、その解決をめざす国際社会の新たな潮流として「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年)や国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」(2015年)が全世界を挙げた共通の枠組みとして示されました。こうしたなか日本政府は「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」の策定を現在進めており、中同協も中小企業団体としてその作業に参画しています。

 これらは「人を生かす経営」の実践と、その遂行を保証する「経営環境改善」を両輪とする中小企業憲章の推進を通じて、社会のありようを問いかけてきた私たちの実践と運動の到達点です。今後私たちには、国際社会からの追い風を、同友会運動推進の新たな力とする努力が期待されています。

 記念すべき第50回の全研で、私たちはさまざまな中小企業をめぐる問題がある中で「地域課題は企業課題」であり、その中心には「人々の暮らし」があること、私たち中小企業家が企業を変え、地域を変え、社会を変え、そして世界を変える先頭に立つことの重要性を学びあいました。世界の潮流を新たな力とし、「人間らしく生きる権利」を実現する地域企業への飛躍に挑戦していきましょう。

 いまここに、下記の四点を広く呼びかけ、一人でも多くの中小企業家を同友会に誘い、実践の輪を広げることを誓って、本集会の特別アピールといたします。

  1. 「中小企業における労使関係の見解」を実践し、共に育ちあい、共に社会の発展に貢献する関係を広げます。
  2. 「地域企業」として、地域の課題を自社の課題として、連携の輪を広げます。
  3. 中小企業を豊かな国づくりの中軸に据える「中小企業憲章」の推進を図り、地域では「中小企業振興基本条例」の活用を推進します。
  4. 「ビジネスと人権に関する指導原則」、「持続可能な開発目標(SDGs)」という二つの世界標準を、企業づくりと経営環境改善の運動に積極的に取り込みます。

2020年 2月 14日
第50回中小企業問題全国研究集会