第55回定時総会 2023年7月13日~14日(議案・採択文・宣言)

議案

採択文集

総会宣言(全文)

時代の転換期こそ原点に立ち返り、未来を展望しよう

 7月13、14の両日、私たちは「今こそ同友会理念の実践で地域と中小企業の未来を創りあげよう」をスローガンに掲げ、第55回定時総会を埼玉で開催しました。
 今、世界は歴史的な転換期を迎えています。気候危機は人類社会のあり方に警鐘を鳴らし、デジタル化やグローバル化は社会に大きな変革をもたらしています。コロナ禍を経て価値観の変化が大きく進み、ウクライナ危機など世界の平和も大きく揺らいでいます。さらに日本では経済の長期停滞と国際的競争力の低下、人口減少・高齢化と地域の衰退などが進んでいます。
 先行きが不透明な時代の中で未来を展望するために、私たちは今、あらためて次の2点を同友会運動の原点として確認したいと思います。

 第一は中小企業の果たしている役割、存在意義です。中小企業は企業数の99.7%、雇用の約7割を占めるなど、日本経済の根幹です。中小企業憲章は「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役」であると高らかに謳っています。
 私たちは時代がどんなに大きく変化しても、中小企業の果たしている役割や存在意義は変わるものではなく、むしろ一層大きくなっていることをあらためて確認するものです。そして、新しい時代の中小企業像を私たちの実践とともに誇り高く社会に発信していきましょう。

 第二に同友会運動の歴史と理念です。戦後の激動の時代に中小企業家が自らの要求に基づき、自ら創りあげた組織が中小企業家同友会です。戦後の労使紛争や幾多の経済危機、自然災害、そしてコロナ危機など、中小企業経営は常に困難に直面してきました。それらを乗り切るために必死で経営努力を重ね、会員同士が学び合い、実践を繰り返すなかで同友会理念が培われ、発展してきました。
 今年は「三つの目的」が採択されて50年、同友会理念が採択されて33年となります。また2年後の2025年には「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)が発表されて50年を迎えます。この間、同友会運動は大きな発展を遂げてきました。その大きな力になったのが同友会理念や「労使見解」であることは間違いありません。
 近年は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)や「ビジネスと人権」指導原則など、同友会理念や「労使見解」にも共通する動きが大きな世界的潮流になってきています。
 私たちは同友会運動の歴史と理念を繰り返し学ぶ活動に力を注ぐとともに、理念の先進性と普遍性に確信を持ち、その創造的な実践を全国津々浦々の地域で展開していきましょう。

 時代の転換期は危機であるとともに変革のチャンスでもあります。私たちは、同友会運動の原点をあらためて確認し、この激動の転換期を乗り越える決意を固めるとともに、2019年に採択した「中同協設立50周年 同友会運動の将来展望(10年ビジョン)」の実現をめざして、全国の会員が企業経営と同友会運動にまい進することを誓い、本総会の宣言とします。

2023年7月14日
中小企業家同友会全国協議会第55回定時総会