第35回定時総会 2003年7月17日~18日(宣言)

総会宣言

私たちは、7月17、18の両日にわたり、「小さな変革を大きなうねりに、同友会と共に輝く未来を」のスローガンを掲げ、第35回定時総会を、アジアに開かれた文化・産業の交流拠点都市、福岡で開催しました。全国から集まった1500名を超える代議員は、2日間の学びあいと熱気あふれる議論の中から、日本経済再生の道は中小企業の活性化にあり、そのためには、同友会運動をさらに大きく前進させることが必須の課題であることに強い確信を持つことができました。

日本経済は今、世界同時デフレ懸念の高まりのもとで、総縮み志向に陥り、デフレ不況の深刻さを増しています。政府の進める「構造改革」路線も失業、倒産の痛みを生み出すばかりで、国民に将来への安心と希望を与えるものとなっていません。こうした環境下にあっても私たちは、社員と共に経営を守ることに全力を傾注し、市場の拡大、創造に取り組み、地域経済と雇用の安定に努力してきました。私たちは、本総会において、その豊かな経験と成果を交流し、明日に向かって挑戦するエネルギーをさらに蓄えることができました。

私たちは、この3年間、地域と中小企業の繁栄をめざす「金融アセスメント法」制定運動に取組んできました。国会請願署名は100万名を超え、制定促進を求める地方議会からの国への意見書決議は654議会にのぼりました。この大運動の成果は、第1に、金融庁の「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の策定等、金融政策に大きく反映されるものとなりました。第2に、金融に関する学習活動を強めることが、経営指針づくり活動と一体化し、企業体質の強化が進んだこと、第3に、金融機関との懇談を活発に行い、「地域経済の繁栄」を共通理念に信頼関係の構築がはかられたこと、第4に、地域における同友会の存在価値が高まり、社会的発言力が増したこと、第5に、中小企業家の正当な願いは国政を変えることも可能であるとの確信を得たことであります。私たちは、この成果の上に立って、「金融アセスメント法」の実現とその精神の具体化をめざし、さらに活動の前進を決意するものです。

私たちが金融アセス運動の中で学んだことは、日本経済繁栄の原動力は中小企業の発展にあり、そのためには、金融政策のみならず国の経済政策そのものが中小企業を軸に大転換する必要に迫られていることです。すでにヨーロッパでは、21世紀の経済発展と雇用の担い手は中小企業にあるとの認識に立って、「中小企業憲章」が制定されています。日本においても、中小企業を国民経済の豊かで健全な発展の中核と位置づける「中小企業憲章」の制定が望まれます。あわせて、私たちは、地方レベルでは、「中小企業振興基本条例」がすべての自治体で制定されることを要望し、その実現のために力を尽くします。

これらの要望を実現するためにも、私たちは地域と深く結びつき、活動の質を高め、さらに大きな同友会の建設を進めることが必要です。今年度は、2010年5万名会員の実現をめざし、各同友会が明確な目標を持ち、お互いに励ましあい、歴史的な前進をとげる年とすることを誓い合い本総会の宣言とします。

総会宣言 2003年7月18日
中小企業家同友会全国協議会 第35回定時総会