第38回定時総会 2006年7月13日~14日(宣言)

総会宣言

私たちは、7月13、14の両日にわたり、「広げよう同友会運動!健全で活力ある社会を我らの力で」のスローガンを掲げ、第38回定時総会を、伝統と創造の新しい鼓動(ひびき)を伝える金沢で開催しました。全国から参加した1400名にのぼる代議員は、2日間の熱心な学びあいと交流を通して、持続可能な日本の経済・社会システムの構築のため、同友会運動をさらに大きく発展させることを誓い合いました。

日本経済は緩やかな回復基調にあるといわれていますが、中小企業景気の浮揚力は弱く、業種間、地域間、規模間で格差の広がりが顕著になってきています。特に家計部門の回復力は弱く、消費需要に依拠する割合の高い中小企業経営の先行きに不安感を増大させています。その上、社会保障制度の改革によって国民や中小企業の負担はさらに大きくなる中、2006年度の税制改定において、特定の同族法人役員の給与所得控除額を法人の損金に認めない制度が創設されました。この制度は、中小法人の法人格を税法上否定するものであり、起業促進の阻害要因になることは明白です。また、同友会景況調査(DOR)でも35・4%の企業が該当するにもかかわらず事前説明がほとんどなされないままの成立には納得できません。私たちは、同制度の実施を凍結し、抜本的な見直しを求めるものです。

私たちは、この3年来、国民生活の健全で豊かな発展を支えるために、中小企業・自営業を国の産業政策の柱として位置づける中小企業憲章の制定を提唱し、憲章の必要性を広めるために学習運動を進めてきました。並行して、中小企業憲章の地域版ともいえる中小企業(産業)振興基本条例の制定、見直しも自治体や他の中小企業団体との連携、協力を深めながら、着実に推進してきました。他方では経済のグローバル化の進展、効率と利益最優先の市場万能主義のまん延は、さまざまな面で格差と歪みを生み出しています。中小企業憲章及び振興基本条例の学習・制定運動は、経済と企業活動の本来のあり方を生活者の視点から問い直す運動ともなっています。

私たちは、中小企業が地域経済を支え、日本経済の永続的な発展の担い手であることに誇りを持ち、「何のための企業経営か」を常に問い直し、企業の社会的責任、経営者のあり方を常に深めていくことを本総会で確認しました。私たちは、同友会がめざす企業、すなわち、経営指針を軸とし、「この街で働きたい」という若者の期待にこたえ、その成長を保証し、国民や地域と共に歩む企業づくりに決意新たにまい進するものです。

来年は、日本中小企業家同友会創立50周年を迎えます。先人が幾多の試練をのり超えて練り上げ、築き上げてきた同友会運動の歴史と理念に学び、広く地域の中小企業家に入会を呼びかけ、新しい時代を共にひらく仲間づくりの輪を広げましょう。2010年5万名会員達成のため、すべての同友会がお互いに学びあい、励ましあって前進することを誓い、本総会の総会宣言とします。

2006年7月14日
中小企業家同友会全国協議会 第38回定時総会