議案
採択文集
総会宣言(全文)
平和で持続可能な社会の担い手として、新たな時代を切り拓こう
私たちは、7月7、8の両日にわたり「誇り高き『理念』につどい、新しい時代へチャレンジ!」のスローガンを掲げ、第54回定時総会を沖縄で開催しました。
今年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、世界の平和と国際秩序を大きく揺るがしています。市民も含めた多くの尊い命が失われ、核兵器の使用さえ危惧されています。ロシアの行為は国際紛争の平和的手段での解決、武力行使の禁止を定めた国連憲章に反するものであり、決して許されるものではありません。
そして今年は沖縄の本土復帰50年の節目の年でもあります。第二次世界大戦で沖縄は、住民を戦力化して巻き込んだ地上戦を強いられ、約24万人が尊い命を落としました。戦後は27年間にわたってアメリカの統治下におかれ、50年後の現在もなお日本の米軍基地の約7割が集中し、県民生活と地域経済に大きな負担をもたらしています。沖縄が負わされている課題は沖縄だけでは到底解決できず、日本の将来に向けて国民一人ひとりが考えていく課題だといえます。
私たち同友会は、第二次世界大戦を通して「中小企業は平和な社会でこそ繁栄できる」との教訓を得て、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざすことを三つの目的に掲げています。本総会として改めて平和の大切さ、尊さを確認するとともに、世界の全ての人々にとって平和な社会が一日も早く実現することを強く願うものです。
さらに世界は今、歴史的な岐路を迎えています。新型コロナウイルスの世界的な大流行、気候危機とまで言われるほど深刻化している地球温暖化、格差の拡大などは、社会や経済のあり方、人々の価値観や生き方などに大きな転換を迫りつつあります。デジタル化も一気に加速し、経済や社会に大変革を及ぼしています。
一方で、持続可能な社会や経済をめざして世界でもさまざまな取り組みが進みつつあります。欧米の経営者団体などが従業員や地域社会などの利益を尊重し、社会の分断や環境問題に向き合う「ステークホルダー資本主義」を掲げた動きなどが注目されています。国連のSDGs(持続可能な開発目標)や「ビジネスと人権」指導原則など、持続可能な社会、人権尊重の企業をめざす動きも大きな流れになってきています。
持続可能な社会が求められる中、グローバル化一辺倒ではない経済のあり方、すなわち地域を重視した経済のあり方が世界的にも見直されつつあり、地域経済の担い手としての中小企業の役割、存在意義が一層重要になってきています。このような持続可能な社会をめざす世界の流れは、同友会運動が追求してきた方向とも一致するものでもあります。
時代の大きな転換期にある今、中小企業は平和な社会、持続可能な経済・社会の担い手として期待されています。「命(ぬち)どぅ宝」。人を生かす経営の根幹は、人間の生命と尊厳を守り抜くことにあります。その自覚と誇りを持ち、期待に応えるにふさわしい中小企業、同友会をめざし、意気高く新しい時代を切り拓いていくことを決意し、本総会の宣言とします。
2022年7月8日
中小企業家同友会全国協議会第54回定時総会