【10.12.22】共同求人は「人づくり、企業づくり、地域づくり」

長期的・戦略的視点での採用活動を
~2010年度共同求人活動から~

 景気はリーマン・ショック後の最悪期からは脱しつつあるものの、円高の急激な進行等もあり、先行き不透明な日本経済。多くの企業の採用意欲が回復しない中で取り組まれた今年の共同求人活動ですが、各同友会では、共同求人の意義を改めて確認しながら、さまざまな取り組みが進められました。

求人・就職活動の動向

jobwayポスター
 2010年10月の有効求人倍率は、0.56倍。全体としては企業の採用意欲は低いまま推移しました。
 来年3月卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)は、大学が57・6%(前年比マイナス4.9%)となったのをはじめ、短大、専門学校等も含めて1996年の調査開始以来、過去最低水準となりました。

 同友会の合同企業説明会の参加企業数は述べ1793社(前年比90%)、同友会の共同求人サイト「Jobway」の登録企業数は643社(同86%)とともに減少。
 合同企業説明会の参加学生数は19406名(同106%)と増加、Jobwayの登録学生は48920名(同188%)と大幅に増加しました。

 各同友会では、共同求人の参加企業を確保することが大きな課題となりました。
 一方で「今年は企業にとっての追い風であった。共同求人参加企業の多くが採用計画数を充足した」との声もあり、長期的・戦略的視点から「人材獲得のチャンス」ととらえ、意欲的に共同求人活動に取り組む企業もありました。

共同求人の意義や位置づけを改めて確認

 今年の2月と9月に開催された中同協共同求人委員会では、共同求人活動の意義や位置づけを改めて確認しながら、いかに運動を広めていくかが論議されました。

 その中では、①若者を地域に残す取り組みを行わなければ、地域がますます疲弊し、市場も縮小する一方であること、②雇用を生み出すには新しい仕事を創(つく)り出すことが必要であること、③共同求人だけを考えても活性化は難しく、経営指針や社員教育の活動と一体のものとして取り組んでいくことが重要であること等が話し合われました。

 まさに共同求人は同友会理念の実践であり、「人づくり、企業づくり、地域づくり」の総合的実践の活動であることが改めて確認された年となりました。

学校との信頼関係づくり、連携・協力、近隣同友会との連携強化

 本年は、学校との信頼関係を築きながら、中小企業の魅力を教育の場や地域社会に広げていく取り組みも行われ、多くの同友会で、継続的に学校訪問や学校との懇談会、授業や学内ガイダンス、保護者向け就職説明会への講師派遣、インターンシップや学内企業説明会、模擬面接会への協力等、産学協同の取り組みが進んでいます。また東北各県同友会共催による合同企業説明会等、近隣同友会との連携強化も進みました。

 学生にとっては「就職難」とともに、「就職活動の早期化・長期化」が大きな問題となっています。若者にとっての希望のない社会に未来はありません。行政、教育界、産業界等を含めた国全体で、広く論議を行っていくことが必要です。

(詳しくは、中小企業家しんぶん12月25日号 4面をご覧ください)