経営者個人保証制度の見直し ガイドライン発表される
中同協は12月9日、中小企業庁金融課と懇談しました。これは、経営者個人保証制度について「ガイドライン」が発表されたことを受けて行われたものです。
懇談会には、中小企業庁から三浦章豪金融課長、井上祐樹金融課調査係長、柴田和也金融課企画係長が出席。中同協からは、石渡裕政策副委員長、板橋和彦政策副委員長、三宅一男金融プロジェクト委員、国吉昌晴副会長、瓜田靖政策局長、中平智之事務局員が参加しました。
経営者保証を求めない条件とは?
まず、三浦金融課長から「ガイドライン」について説明がありました。中小企業が、保証を提供せずに資金調達を希望する場合は、以下の対応が求められます。
1.法人と経営者との関係の明確な区分・分離。本社、工場等の事業用資産は法人所有とすることが望ましい。
2.財務基盤の強化。今後も借入を順調に返済し得るだけの利益(キャッシュフロー)を確保する。
3.適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保。年1回の本決算の報告のみでなく、試算表・資金繰り表の定期的な報告など。
金融機関がこのような対応状況を踏まえ、内外からのガバナンスが十分働いていると判断した場合、経営者保証を求めないとします。また、十分でない場合でも、停止条件又は解除条件付保証契約やABL(流動資産担保融資)、金利の一定の上乗せなど代替的な融資手法により、経営者保証を求めない可能性を検討します。既存の保証契約の見直しも同様の考え方で行います。
破綻整理、残存資産の範囲を大幅に広げる
さらに、破綻した場合、保証債務の整理手続をどうするかです。残存資産の範囲ですが、自由財産(現金99万円)に加え、「一定期間の生計費に相当する現預金」(雇用保険の給付期間、90日~330日の考え方を参考に1カ月33万円を乗じた額)や華美でない自宅も範囲に加えるとしています。
このように、一律かつ形式的に経営者の交代は求めず、経営者が引き続き経営に携わることに経済合理性が認められる場合には、これを許容するとしています。
ガイドラインは、中小企業庁及び金融庁の関与の下、日本商工会議所と全国銀行協会が共同で、中小企業団体及び金融機関団体の関係者などの議論を踏まえ、共通の自主的自律的な準則として、策定・公表されたものですが、関係者の合意を踏まえ、公的準則として扱うことがきまっています。
今後、各同友会で研究会を開き、各企業の保証契約のあり方をもう一度考え直してみましょう。