新型コロナウイルス感染拡大による中小企業への甚大な影響の広がりを踏まえ、中同協では8月30日に「中小企業の倒産・廃業を避け、雇用と日本経済を守るために~新型コロナウイルスに関する第8次緊急要望・提言」を国会議員や中小企業庁に届けました。
中小企業の倒産・廃業を防ぎ、雇用と日本経済を守るために
新型コロナウイルスに関する第8次緊急要望・提言
私たち中小企業家同友会全国協議会[略称・中同協]は、1969年(昭和44年)設立以来、自助努力による経営の安定・発展を図るとともに、中小企業をとりまく経営環境の是正に努めて参りました。
新型コロナウイルス感染症は、長期にわたり、経済的に社会的にも極めて深刻な影響を与えておりますが、緊急事態宣言の延長などによってその影響がさらに拡大することが懸念されています。全国の中小企業にとっても、とりわけ影響の大きい飲食業や宿泊業、観光サービス業およびその関連業は言うに及ばず、あらゆる業種において倒産・廃業の危機に追い込まれかねない切迫した事態となっています。
現下のきわめて厳しい環境下にあっても、中小企業の多くは支援施策等も活用しながら社員の生活と雇用および地域経済を守るために必死の努力を続けています。しかしながら、影響のさらなる長期化も予想されることから、支援施策を一層拡充していくことが求められています。雇用と地域社会を守り、日本経済の崩壊を防ぐためには、中小企業の維持・発展が不可欠です。
政府は2019年に「中小企業の日」および「中小企業魅力発信月間」を設け、その目的を「中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成する機会を国民運動として提供していくため」としています。その趣旨に照らし、政府はコロナ禍を乗り切ろうと奮闘している中小企業・小規模事業者に対して、「1社もつぶさない」「雇用と地域を守る」という姿勢を貫き、中小企業の存在意義と重要性を国民に訴えるとともに、従来以上にスピードを上げて支援の取り組みを進めることを強く希望します。
以上の観点から、私たちは下記のような政策の実施を緊急に求めるものです。関係各位の早急なご協力、ご支援をお願いします。
1.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資の返済猶予期間を延長すること。
2.雇用調整助成金特例措置の延長を行うこと。その財源は雇用保険に限らず、一般会計からも措置すること。柔軟な予算措置で雇用保険料率の引き上げを行わないこと。
3.最低賃金の引き上げにあたっては、中小企業に負担を強いない施策を
1)飲食業や宿泊業、観光サービス業およびその関連業などコロナ禍で大きな影響を受けている業種には直接的、効果的な支援を行うこと。
2)賃上げを行う際に中小企業に大きな負担となっている社会保険料の事業主負担について、助成制度を創設するなど軽減を図ること。
3)取引関係の適正化を進め、下請事業者等の中小企業が労務費上昇分を取引価格に円滑に転嫁できるようにすること。
4.回復需要を担える前向きな投資活動を推進する施策を実施すること。また、中小企業に対し事業再構築補助金申請を簡便にすること。
2021年8月24日
中小企業家同友会全国協議会
会長 広浜 泰久
※当会が2020年3月4日(第1次)および3月31日(第2次)、4月20日(第3次)、5月25日(第4次)、10月13日(第5次)、2021年1月8日(第6次)、2月12日(第7次)に発表した緊急要望(当会ホームページ参照)についても、未実現の内容については、引き続き実現に向けて取り組んでいただくことを重ねて要望します。