5月20日、中同協は重要経済安保情報保護法についての会長談話を発表しました。全文は以
下のとおりです。
重要経済安保情報保護法についての会長談話
5月10日、重要経済安保情報保護法が参議院本会議で可決され成立しました。漏えいによっ
て安全保障に支障が生じる情報を「重要経済安保情報」に指定し保全を図ること、その情報を扱
う人を認定するセキュリティ・クリアランス(適性評価)制度を創設することなどを柱としたも
のです。
政府は、外国の民間事業者との間で情報のやり取りが円滑になり、海外企業と機密を含む技術
の共同開発や公共調達への入札ができるようになるなど産業競争力の強化につながる、としてい
ます。
一方、各方面からいくつかの懸念が指摘されています。重要経済安保情報について、条文上に
具体的な分野の記述はなく、どういう情報が指定されるのかは閣議で定める運用基準にゆだねら
れたこと。適正評価の対象となった場合、本人及び家族が身辺調査の対象となり、プライバシー
権の侵害や不利益が出る恐れがあること。機密保護の対象が明確でなく国民の知る権利が侵害さ
れる恐れがあること、などです。
さらに、中小企業・小規模企業にとっては対象分野の特定がないままでは事業活動の遂行に支
障を生じかねず、適性評価の実施などは営業活動の萎縮をもたらし営業の自由が侵害される恐れ
も懸念されています。
今後、運用基準の検討などが行われる予定になっていますが、懸念されている点が払しょくさ
れるよう、広く国民並びに中小企業・小規模企業の意見を聞きながら、法律の見直しも含めて丁
寧な議論を進めることを望むものです。
2024年5月20日
中小企業家同友会全国協議会
会長 広浜 泰久