新型コロナウイルス感染拡大による中小企業への甚大な影響の広がりを踏まえ、中同協では11月22日に「中小企業の倒産・廃業を避け、雇用と日本経済を守るために~新型コロナウイルスに関する第8次緊急要望・提言」を国会議員や中小企業庁に届けました。
中小企業の倒産・廃業を防ぎ、雇用と日本経済を守るために
新型コロナウイルスに関する第8次緊急要望・提言
私たち中小企業家同友会全国協議会[略称・中同協]は、1969年(昭和44年)設立以来、自助努力による経営の安定・発展を図るとともに、中小企業をとりまく経営環境の是正に努めて参りました。
緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルス感染症は、長期にわたり、経済的に社会的にも極めて深刻な影響を与えております。全国の中小企業・小規模事業者にとっても、とりわけ影響の大きい飲食業や宿泊業、観光サービス業およびその関連業は言うに及ばず、資材の高騰なども含めあらゆる業種に影響が出ており、弊会の景況調査でも景況感は厳しくなってきています。
このように厳しい環境下にあっても、中小企業・小規模事業者の多くは支援施策等も活用しながら社員の生活と雇用および地域経済を守るために必死の努力を続けています。しかしながら、影響の長期化も予想されることから、支援施策を一層拡充していくことが求められています。雇用と地域社会を守り、日本経済の崩壊を防ぐためには、中小企業の維持・発展が不可欠です。
政府は2019年に「中小企業の日」および「中小企業魅力発信月間」を設け、その目的を「中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成する機会を国民運動として提供していくため」としています。その趣旨に照らし、政府は厳しい局面を乗り切ろうと奮闘している中小企業・小規模事業者の存在意義と重要性を国民に訴えるとともに、従来以上にスピードを上げて支援の取り組みを進めることを強く希望します。
以上の観点から、私たちは下記のような政策の実施を緊急に求めるものです。関係各位の早急なご協力、ご支援をお願いします。
1.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資の返済猶予期間を延長し、特に利子補給に関しては5~6年延長すること。また民間金融機関が「金融仲介機能の強化」の一環として、積極的に中小・小規模事業者に、積極的に返済条件変更に応じるとともに、長期資本性ローンや経営支援を行うよう対応すること。
2.雇用調整助成金特例措置の延長を行うこと。その財源は雇用保険に限らず、一般会計からも措置すること。柔軟な予算措置で雇用保険料率の引き上げを行わないこと。
3.感染が一時的に収束する中で、飲食店の認証制度などへの対応や施策が、場当たり的で、中小・小規模事業者の不安を招いている。コロナで甚大な影響を受けた業種や地域への、対策を早急にかつ計画的に明示して実施すること。
4.コロナの影響もあり資材不足や資材の高騰が相次いでいる。一方で、納期延期による違約金の請求や価格転嫁拒否、手形サイトの長期化など、そのしわ寄せが立場の弱い中小・小規模企業に強いられている。最低賃金の引き上げも含め、これらの価格転嫁がスムーズに行えるよう、指導を強化すること。
5.2023年に予定されている消費税のインボイス制度の導入を凍結し実施しないこと。
6.回復需要を担える前向きな投資活動を推進する施策を実施すること。また、事業再構築補助金は、2~3年程度延長し、希望者の多くが活用できるよう制度を拡充し、中小・小規模事業者に対し申請を簡便にすること。
2021年11月22日
中小企業家同友会全国協議会
会長 広浜 泰久
※当会が2020年3月4日(第1次)および3月31日(第2次)、4月20日(第3次)、5月25日(第4次)、10月13日(第5次)、2021年1月8日(第6次)、2月12日(第7次)、8月24日(第8次)に発表した緊急要望(当会ホームページ参照)についても、未実現の内容については、引き続き実現に向けて取り組んでいただくことを重ねて要望します。