【25.3.11】日本労働組合総連合会(連合)との共同談話を発表

 このたび、連合の芳野会長との連名で「中小・小規模事業者の公正取引と持続的に賃上げできる環境整備に向けた共同談話」を発表しました。以下、全文をご紹介します。

中小・小規模事業者の公正取引と
持続的に賃上げできる環境整備に向けた共同談話

 中小・小規模事業者(以下、中小企業)は経済を牽引する力であり、社会の主役である。雇用の大部分を支える中小企業の振興と賃上げの実現は、日本経済の安定的な発展と国民の暮らしの向上に不可欠である。

 現在多くの中小企業では人手不足が深刻化しており、労務費をはじめとする費用を適切に価格転嫁できず、厳しい経営環境が継続する中で、持続的な賃上げにつながる経営改善・事業再生等の伴走支援が必要である。

 このような状況を踏まえ、中小企業家同友会全国協議会と日本労働組合総連合会は、下記の取り組みを推進することを共同談話として確認した。

1.持続的に賃上げできる環境整備の推進

 成長と分配による経済の好循環には、中小企業等の業績改善と働く人の生活向上を持続的に実現していく必要があり、経営環境の整備と同時に、中長期的な視点で人への投資を進め、生産性や付加価値を向上させるなど、賃金の引き上げにつながる取り組みが求められる。そのためには、政府に対して中小企業の持続的発展や生産性向上につながる支援強化(事業再構築、スキルアップ、DX・GXへの対応)、被用者保険の適用拡大に伴う中小企業などの負担軽減を求め、中小企業が持続的に賃上げできる環境整備を推進する。

2.付加価値の適正分配と適正な価格転嫁、公正な取引の推進

 地域経済の担い手である中小企業の経営基盤を強化するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配と、働き方を含めた公正な取引の推進、並びに独占禁止法や下請法の厳格な運用が不可欠である。そのためには、政府の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を周知するとともに、指針を反映した「パートナーシップ構築宣言」(以下「宣言」)を一層拡大し、受注者と発注者双方が価格交渉時に「宣言」にもとづく対応を行うなど、適切な価格交渉を含む公正な取引環境の整備をすべての業界へ浸透・拡大させることを推進する。

3.中小企業の振興を通じた地域活性化の実現

 中小企業は地域経済を牽引する力であり、中小企業の活性化なくして地域の活性化は実現できない。中小企業の経営基盤の強化と地域社会の活性化をめざす「中小企業振興基本条例」のすべての市町村における制定・具体化に向けた環境整備を推進する。また、産官学金労言など幅広い連携を含め、地域における活性化の取り組みに積極的に参画する。

 中小企業家同友会全国協議会と日本労働組合総連合会は、「人を生かす経営」や「働く人の生活向上」などにむけて、今後、連携を強化していく。さらに、労使共通の課題を共有し、地域経済を活性化するため、中小企業振興基本条例を制定するなど、中小企業の経営基盤強化と持続的に賃上げできる環境整備に向けて、それぞれの立場で政府や関係省庁などへの要請に取り組む。

以 上

2025年3月10日
中小企業家同友会全国協議会
会 長  広浜 泰久

日本労働組合総連合会
会 長  芳野 友子