【08.09.24】「人間尊重の社会」めざし障害者問題交流会

障害者問題全国交流会に全国から415名が参集

 
 「人間尊重の社会をめざして~今、できることを一つずつ」をテーマに、第14回障害者問題全国交流会(中同協主催)が9月19~20日、東京同友会の設営で、東京・明治学院大学白金キャンパスを会場に開かれました。当日は、台風が西から東京へと迫りくる中、交通の便が危ぶまれましたが、参加者の熱い熱気で台風を吹き飛ばし、北海道から沖縄まで32の同友会から415名が参加しました。
 1日目は、6つの分科会に分かれ、報告とグループ討論が行われました。

働くこと、役に立つ喜びが生きる意欲を広げる

 
 第1分科会では、京都同友会の「人を生かす経営」実践道場に参加し、経営指針づくりをすすめる中で、人(社員)の力を最大限引き出し、自力で生活していける人を育てるのがわれわれの使命に気づき、障害者の雇用を始めたこと、その中で経営者の姿勢が変わり、企業が変わってきた体験が報告されました。
 第2分科会では、精神障害のある社員を雇用する中で、彼らの豊かな人間性に気づかされ、「信頼される企業」を理念を掲げながら力むことなく事業実践に取り組んできた9年間の体験を、当人である二人の社員と社長が報告(愛知)。働くことを通して、豊かな人間性と生きる意欲が広がっていくことが、障害者本人の口から語られ、参加者の感動を呼びました。
 第3分科会は、一企業による障害者雇用だけでなく、「横請け」という形で障害者の就労支援施設と連携することで、障害者の就労の場を広げている実践報告(沖縄)。受け身の作業からプロの現場でしっかりと戦力になっていっていること、仕事で人の役に立つことがいかに人間を高めるかの証明になっていることなどが話されました。
 第4分科会は、高齢者・障害者が安心して旅ができるようなバリアフリーツアーを企画する旅行社の実践報告(広島)でした。「旅することができたという自信・勇気」がその後の前向きな生き方や、生きる喜び・希望を生みだしていること、受け入れ側の施設や地域の人々とホスピタリティや地域の特色を見直し、障害者の旅を受け入れることで過疎地の活性化を図っていることなどが話され、「すべての人に幸せが見える地域社会づくり」と呼びかけました。

共生社会づくりで行政や大学とも連携

 
 東京同友会が担当した第5分科会では、「私たちは働きたい、働ける」と題し、実際に障害者を雇用している企業と社員が登壇し、映像もまじえながら、実際に働く姿と生の声を紹介。この分科会では、行政や就労支援機関も企画から参加し、中小企業の経営者団体がこんなにも熱心に障害者雇用を考えていることに感銘し、今後も行政者就労支援機関が同友会ともっと連携していく必要性が感想として出されていました。
 また、明治学院大学と東京同友会の産学連携で企画された第6分科会では、障害者を雇用している企業にインターンシップで学生が入り、障害のある社員と共に働く中で、共に働き・暮らす共生社会への道筋と、今後の課題について考えた学生と社長が報告しました。

人間尊重の社会づくりへ、「今、私ができること」

 
 2日目は、午前が「人間尊重の社会をめざして」をテーマにしたパネルディスカッション。前日行われた6つの分科会の座長・コーディネーターをパネリストに、望月実行委員長がコーディネーターとなって、分科会の概要がそれぞれ紹介された後、「(人間尊重の社会づくりへ)私が今、できること」について、会場からも発言が相次ぎ、「創業間もないころ、障害者の雇用でお店の雰囲気が温かくなった経験をしたが、再度障害者雇用に挑戦したい」「自社の業務分析をし、障害者でも働ける仕事を探し出す」「お金だけでなく、夢や希望、やりがいのもてる職場環境づくりに取り組む」「働きたい、という意欲のある障害者が一人でも多く就職できるよう、がんばる」など時間が足りないほどでした。
 午後には、ソフトブレーン㈱の創業者・宋文洲氏の記念講演が行われた後、交流会宣言が高らかに読み上げられ、大きな拍手で採択されました。