【08.10.10】「100年に一度の危機」に同友会の出番~中同協役員研修会

「よい会社」へ「経営者の経営姿勢の確立」こそ~田山・中同協顧問

 
 10月9~10日、榛名山が美しくみえる群馬のホテルメトロポリタン高崎で、「第11回中同協役員研修会」が開かれ、11同友会と中同協から58名が参加しました。

 1日目は、第一講「半世紀を迎えた同友会運動、その歴史と理念に学ぶ~『労使見解』を生み出した中小企業家の知恵と努力、今日的価値について」が行われ、登壇した講師の田山謙堂・中同協顧問は、同友会理念がまとめられてくる過程や労使見解が生まれた背景などを、自らの体験を通して紹介しました。

 
 「いま『100年に一度の危機』といわれ、世界経済のパラダイムが変わろうとしている。13年かけて生まれた『労使見解』(中小企業における労使関係の見解)は当時の激しい労使紛争を背景に、労働組合の上部団体とも懇談しながら、議論を重ね、労働環境を整備し労使の信頼関係を築くことが何よりも大事であることを経営者の手でまとめたもの。具体的には経営者は自身がその姿勢を確立することが大切であり、経営指針を作り、方向性を示すこと」などとして、田山氏自身の経験を交えながら報告しました。

 グループ討論では、「同友会3つの目的や労使見解などが今でも会の理念として脈々と生きていることに確信をもった」「社員に会社の方向性を示しながら、社員の待遇改善を優先することで社員もやる気になる」など、活発に意見交換されました。

 夕食交流会では、同友会ごとに壇上で決意表明があり、「わが同友会自慢」とともに今年度および2010年までの会員数目標などが力強く宣言されました。

経営者は戦略家、哲学者、経世家であれ~赤石・中同協相談役幹事

 
 2日目午前中は赤石義博・中同協相談役幹事の「現代日本の中小企業の経営課題と同友会運動~『地域力経営』を深め、環境保全型企業づくりを」をテーマに、講義。

 「中小企業における労使関係の見解」を形にするために経営指針づくりの運動が展開され、めざす全社一丸体制、全天候型企業の確立へ向けての活動が行われてきたことを紹介。「経営者は、経営のエキスパートしての戦略家、社員を人間らしく人生が全うできる会社にするための哲学者、国家百年の大計を考える経世家であれ」と呼びかけました。

「場」と「役割」が経営者を成長させる~鋤柄・中同協会長

 
 午後は、鋤柄修・中同協会長が「同友会リーダーの使命、役割は何か―同友会で何を学び、どう実践する のか、中小企業憲章制定運動の意義にふれて」をテーマに眠気も吹き飛ばす、迫力あふれる講義。

 「同友会は同友会理念を実現するために経営者が学び実践する場であり、会員は一人ひとりその場と役割を与えられて成長する。会社も人が育つ場を提供しているが、社員一人ひとりにその役割を持たせることで成長する。厳しい時代だからこそ同友会で学ぶ仲間をふやし、中小企業が元気になり地域力をつけていく必要がある」と、自らの失敗や実践を紹介しながら話しました。

 各講義ごとにグループで討論し、自らの経営課題や同友会運動の課題を交流しました。

役員研修会の最後に赤石氏は、「常に自分を白紙の状態に置くこと。だれの話もどんな状況も自分のまっさらのお皿の上に置いてみる。そのつど、まっさらにして団子を積み上げてじっくり眺める。同友会の仲間がどこに行ってもいる。まっさらな皿さえ持っていればいつでも団子を積み上げていける。健康でがんばっていただきたい」と強調。

鋤柄氏は「病気になるとグループ討論に参加するのは苦痛になる。経営者はまず体に気をつけ健康を維持すること。そして、会社を健康に保つ。自分の考え方が健康かどうか、点検し合える仲間がいて、やっとすこしずつ健康にもなれる。みなさんがんばりましょう」と参加者に励ましを与えました。