【24.2.7】能登半島地震に関する緊急要望・提言

 

 私たち中小企業家同友会全国協議会[略称・中同協]は、1969年(昭和44年)設立以来、自助努力による経営の安定・発展と、中小企業をとりまく経営環境を改善することに努めて参りました。
 本年1月に発生した能登半島地震は、北陸地方を中心に大きな被害をもたらしています。「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」(以下「支援パッケージ」)が公表され、官民が協力して復旧、復興に総力を挙げて取り組んでいますが、これまでの大規模災害の教訓も踏まえながら、より一層被災者の立場に寄り添った支援施策が求められています。
 私たちは、中小企業家としての社会的責務を果たし、日本経済と中小企業が発展できる環境をつくるために以下のような政策の実施を求めるものです。関係各位のご協力、ご支援をお願いします。

1.地域の雇用維持に全力で取り組める支援を

 地域の雇用を守ることが、被災地住民の生活再建、地域経済の復興の要となる。地域雇用の大部分を担っている中小企業が雇用維持に全力で取り組めるような支援を行うこと。
 雇用調整助成金の助成割合の引き上げ(中小企業は5分の4)等が講じられたが、被災企業等の状況を踏まえながら、助成割合の一層の引き上げ、支給要件の緩和、支給限度日数の延長など柔軟な対応をはかること。
 東日本大震災からの復興に際しては、地元中小企業の人材不足、人件費の高騰などが深刻な問題となった。その教訓を踏まえ、働き手の県外流出を食い止めるとともに働きやすい環境を早急に整備するために、特区制度の活用(例えば、税、社会保険・労働保険料などの負担軽減、Uターン希望者に対する就業支援など)を検討すること。

2.被災地域住民の生活再建に向けた支援

 被災地の生活再建のために、水道・電気・ガスなどの生活インフラ、道路・鉄道・港湾などの産業インフラの早期復旧を図ること。また仮設住宅等の建設も早急に進めること。地域インフラの復旧にあたっては、地元企業への発注を原則とし、施工能力に懸念がある場合は共同事業体の組成を促す等、地域経済再建を最優先にすること。被災住宅の再建・リフォームに際しては、地元企業への発注や県産材活用を行う被災者に対して補助を増額するなど、その促進を図ること。また復興計画の策定にあたっては、地元住民や地元企業の意見を取り入れながら進めること。

3.操業再開にむけた支援を

 被災地の復興にあたっては、地域経済を支える中小企業の一日も早い復興が肝要である。被災した中小企業への緊急休業補償制度の確立が切望される。当面、事業継続のための最低限の措置として、設備のリース代など固定費への補助事業を検討すること。

4.緊急融資の創設および既往債務の返済条件緩和

 1月25日に公表された「支援パッケージ」に盛り込まれた各種資金繰り支援策の周知徹底を図るとともに、売上減などの影響を受けた中小企業の既往債務について返済条件緩和又は「返済凍結」などを実施すること。「能登半島地震特別貸付」は原則無担保とし、貸付金利も状況に応じ軽減すること(甚大な影響の場合は無利子)。融資や保証制度利用の際は、経営者保証ガイドラインの趣旨を踏まえ、できるだけ経営者保証を不要とすること。
 被災中小企業の再建にあたっては二重債務の負担が大きな課題となるため、現在の「支援パッケージ」では「検討」の表明にとどまっている地域経済活性化支援機構等による債権買取や出資のスキームの早急な具体化を図ること。

5.社会保険料の免除や法人税等の減免

 地域経済の崩壊・底割れを防ぐため、売上減少などの影響を受けた企業に対し、社会保険料の免除や法人税等の減免または納税猶予の特例措置を実施すること。

6.「なりわい再建支援事業」の利用推進

 「支援パッケージ」に盛り込まれ、被災中小企業の再建・事業再開に大きな役割を果たすことが期待される。制度の運用に際してはこれまでの大規模災害の教訓等も踏まえ、手続きの簡素化と迅速な対応を図るとともに、復旧後の改修・処分などにも柔軟に対応するなど、継続的な充実と改善に努めること。

7.風評被害の防止

 観光やイベントのキャンセルなどが相次ぎ、影響を受けている関連業のすそ野は広く、深刻なダメージを多くの中小企業が受けている。適切な情報発信などを実施し、風評被害の防止に努めること。あわせて風評被害の影響を受けた企業に対して支援策を講じること。

8.地域の経済循環の復旧・強化を重視した支援施策を

 阪神淡路大震災や東日本大震災の大きな教訓の一つが、災害からの復旧・復興にあたっては被災者の生活を支える地域産業と雇用の再建が不可欠であり、そのためには復興資金などが地域内で経済循環する仕組みの構築が必要だということである。兵庫県復興10年委員会の『阪神・淡路大震災 復興10年総括検証・提言報告』(2005年)は、震災後2年間の復興需要14.4兆円のうち、90%が被災地外に流出しており、地元への発注率がより高ければ、復興も早まっていたかもしれないことを指摘している。こうした教訓を踏まえ、地域の経済循環を高めることを重視した支援施策を推進すること。

9.復興庁の機能強化を

 「災害の時代」とも言われ、日本全国で災害が起こる可能性が高まっている。復興庁の役割・機能を強化して、大規模災害時の経験・教訓を蓄積するとともに、防災や減災、災害時のより効果的な復旧・復興の取り組みなどに知見を活用する仕組みを強化すること。

以上

2024年2月7日
中小企業家同友会全国協議会
会長  広浜 泰久